『戦中派不戦日記』は昭和20年の日記だ。いぶし銀のように黒光りしている。1月1日に「運命の年明く。日本の存亡この一年にかかる。祖国のために生き、祖国のために死なんのみ」と綴り、12月31日に「日本は亡国として存在す。われもまたほとんど虚脱せる魂を抱きたるまま年を送らんとす。いまだすべてを信ぜず」と結んだ。一切の削除も添削もせず、この不戦日記が公刊されたときは、当時の作家も知識人もマスメディアも頭(こうべ)を下げるしかなかった。
https://www.sankeibiz.jp/express/news/150816/exg1508161400003-n2.htm