これは、スキャンダルだ
抱き合いながらも、別の方向を向く顔とか、ルドルフとマリーが薔薇を持つ手とか、
ハプスブルク家の双頭の鷲の紋章の構図をちょっと意識している構図かな?
もしも、現代で、
妻子ある皇太子が、16歳の少女を射殺後、自殺したら・・・
最近のやんごとなき方々のあれこれが可愛く思えるほどの、皇室の存続に関わる大スキャンダルでしょう。
欧州一の名門、ハプスブルク家の皇太子のスキャンダルは、世界中に知れ渡りました。
かのコナン・ドイルのホームズシリーズは、発表順で言うと第3作にあたる『ボヘミアの醜聞』(ホームズが「あの女」と呼ぶアイリーンが出てくる作品。原題:"A Scandal in Bohemia")で爆発的にヒットしました。
なにせこのタイトル。
ルドルフの悲劇は1889年、『ボヘミアの醜聞』の雑誌掲載は1891年ですから、
当時の読者の「ボヘミア王でもあるハプスブルク家のスキャンダルに関する本かしら?」という好奇心を煽ったことも、作品のヒットの一因だと思います。
その後も、なんとオードリーヘップバーンがマリーを演じたTVドラマが製作されたり、
バレエになったり、
「うたかたの恋」(ケネス・マクミラン振付/エドワード・ワトソン/マーラ・ガレアッツィ/ロイヤル・バレエ団)【高画質】【バレエDVD/Blu-ray「うたかたの恋」トレイラー】
まとめ:みんな、やんごとなき方のスキャンダルが大好物
ルドルフとマリーの死から、もう130余年。
宝塚版の「うたかたの恋」も、1983年の初演から2023年で40年。
いつしか、宝塚の大劇場本公演で上演される演目は、イマドキの2.5次元やLDHコラボが主流となり、
「うたかたの恋」は、全国ツアー用の演目になりました。
地方の、宝塚を見るのは初めて、という方も、普段はTVドラマとか配信の韓流ドラマとかを見ているわけで、
物語を享受する感性が、都市部の方と地方の方で大きく時差がある、というわけでもないと思います。
そんな地方の宝塚初体験のファンが、「うたかたの恋」を見て、
「古きよきスタイルの話」
と思ってくださるか、
「古臭い話」
と思われるか。
正直、微妙になってきたのではないでしょうか。
「うたかたの恋」も、何度も再演されるうちに、「偉大な古典」枠になり、
歌舞伎みたいに
「偉大な古典戯曲に、現代の男役が挑みます!」
となってきて、ルドルフとマリーの情死のスキャンダラスな衝撃は、薄れてきた・・・かも。
初演から40年を経て、新演出で蘇る「うたかたの恋」成功のカギは、
「ルドルフとマリーが生きて死んだ1889年当時の人が、2人の情死を伝える新聞の号外を見た時の驚き」を2023年に追体験させることができるかどうか?
だと思います。
この先行画像には、その驚きがある。