宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

『ELPIDIO(エルピディイオ)』感想②



ネタバレ感想、ツッコミ編です。



ミュージカル・ロマンティコ

『ELPIDIO(エルピディイオ)』

~希望という名の男~

作・演出・振付/謝 珠栄   


植民地が次々と独立し、隆盛を極めたスペイン帝国が終焉を迎えた20世紀初頭のマドリード。


国の将来を憂える男達が集う酒場 Camino(道)に、仲間たちからロレンシオと呼ばれる男の姿があった。


かつて死に直面しながらも命を取り留めた過去を持つ彼は、生きる意味を求め彷徨う中、この街へと辿りついたのだった。


ある夜、何者かに襲われたロレンシオが連行されたのは、軍の大佐でもあるアルバレス侯爵の館。


侯爵と瓜二つの顔を持つロレンシオは偽の身分証を所持していたことで脅され、替え玉となるよう迫られる。


ELPIDIOというペンネームで新聞に詩を投稿していた彼は、それを続けることを条件に替え玉となることを受け入れるが、侯爵の妻パトリシアに偽物と見破られてしまう。


侯爵と離婚協議中であったパトリシアは福祉活動に従事しており、同じ思想を抱くロレンシオと次第に惹かれ合い、二人は恋に落ちていく。


侯爵家の人々に見守られながら様々な事柄に向き合ううち、ロレンシオはようやく自らの使命を見出していき…。


弱者に寄り添うELPIDIOの詩に触発された人々が“希望”を胸に行動を始める中、この世に蔓延する嘘の在り方に対峙する偽侯爵ロレンシオは、スペインが抱える問題を如何に解決していくのか。


そして、彼の本当の名に込められた意味を見出すことが出来るのか。



その1 謝先生、あらすじが長いです。


たとえば、上田久美子先生の『桜嵐記(おうらんき)』


あの濃厚なドラマを、これだけの文章量でみごとに要約している。


ロマン・トラジック

『桜嵐記(おうらんき)』

作・演出/上田 久美子   


南北朝の動乱期。


京を失い吉野の山中へ逃れた南朝の行く末には滅亡しかないことを知りながら、父の遺志を継ぎ、弟・正時、正儀と力を合わせ戦いに明け暮れる日々を送る楠木正行(まさつら)。


度重なる争乱で縁者を失い、復讐だけを心の支えとしてきた後村上天皇の侍女・弁内侍。


生きる希望を持たぬ二人が、桜花咲き乱れる春の吉野で束の間の恋を得、生きる喜びを知る。


愛する人の為、初めて自らが生きる為の戦いへと臨む正行を待つものは…。


「太平記」や「吉野拾遺」などに伝承の残る南朝の武将・楠木正行の、儚くも鮮烈な命の軌跡を、一閃の光のような弁内侍との恋と共に描く。   


謝先生の作品解説って、学校の宿題の「あらすじで文字数を埋めた感想文」みたいになっていませんか・・・


私は、知らない作品の「あらすじ」って、3センテンス以上は目が滑って頭に入りません。


まとめ:あらすじは3文でまとめてください。





その2 謝先生、事件が現場で起きていません!


物語はほぼ


国の将来を憂える男達が集う酒場 Camino(道)と、軍の大佐でもあるアルバレス侯爵の館


の内部で展開される。




物語のキーとなる


主人公の少年時代のキューバでの過酷な経験、


軍部がモロッコで進めるクーデター計画、


偽侯爵ロレンシオの、国王陛下への一世一代の直訴、


すべて、ロレンシオの「語り」ですまされる。



これは、「観客の想像を促す効果を狙っての作劇」なのか、あるいは、


外部で、予算の制約の中で物語を描き続けた謝先生の、


「なるべくセットや衣装にお金をかけずに、リーズナブルに上演できる脚本にしなければ!」


という意識ゆえなのか?


舞台の上で軍部の陰謀シーンとか、王宮のシーンを再現しようとすれば、セットまで組まずとも、劇団の倉庫にあるお衣裳をふんだんに使って、どうにでも表現できるのでは?


せっかくいい役者がいるんだから、事件を舞台の上で目撃したいです!


まとめ:場面展開を、予算を気にして節約しすぎなくてもよいのでは?