宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

『Gemini』配信視聴で気づいたこと


鳳月 杏 ディナーショー『Gemini』夜の部の配信を視聴いたしました。


感想1 思えば遠くへ来たもんだ


中村 一徳先生!


つかみかけた 熱い腕を 振りほどいて 君は出ていく


僅かに震える 白いガウンに君の 年老いた 哀しみを見た


『チャンピョン』アリス


DSでこういう歌詞の曲はですね!


若手の英かおと&彩音星凪が元気いっぱいに歌っているからいいんですけれども。


つい、


「こういう歌は鳳月杏が歌ったほうがしっくりくるのでは?」


と思ってしまい、


でも、鳳月杏がこの時期のDSでこういう歌を歌うのもちょっと…とか思ってしまいませんか?


感想2 鳳月 杏の凪七瑠海化


いい意味でギラついた油っ気が抜けて、男役としての人格や技量が豊かに円熟した、仙人の境地にまで達していますね。



感想3 谷 貴矢のデジタル・マジカル・ミュージカルの魅力にやっと気づいた


谷 貴矢先生のオリジナル外箱作品といえば、カタカナの登場人物たちが繰り広げるトンチキストーリーで意味不明、と語られがちですね💦


今回のディナーショーでは『出島小宇宙戦争』の曲が2曲歌われておりました。



広い宇宙の隅っこで 狭く空虚な牢獄で


人は皆孤独を隠し 楽しくやってる なんとなく


別にそれも悪くはない 本さえあればそこは無限大 


『ミクロでマクロな小宇宙』(出島小宇宙戦争)




【公式】<サンプルムービー>出島小宇宙戦争('20年月組・ドラマシティ)


月は姿を変えない ただずっとそこにあるだけ


ましてや地球に恋なんて 許されるはずもない


でもあの時 あの人だけ それはただ一度の過ち



月は姿を変えゆく 光を受けて日を追うごとに


コロコロ変わる表情は 裏の心を隠すよう


光の奥のその心 この星だけが知ってる


「衛星ドリーマー」(出島小宇宙戦争)


狭い「牢獄」に対して広大な「宇宙」を対比させたり、


月に憧れる地球人はたくさんいますが、「月は地球に恋するのか」というテーマを歌詞にする。


谷 貴矢先生の歌詞の、「元素記号を萌えキャラ化する脳」的な、一番遠そうに見える者同士を結び付けることで、聞き手の脳内イメージをポーンと跳ねさせる修辞の能力は素晴らしいですね。


宝塚のお芝居の脚本・演出の先生が書く歌詞は、心理や物語の「説明」がほとんどですが、


宮沢賢治系の理系ポエマーな歌詞を書ける先生は今や唯一無二です。


お願いです、辞めないで!