宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

あがたの歌で泣くなんて 彩風咲奈DS『LAST MISSION』


彩風咲奈ディナーショー『LAST MISSION』の配信を視聴しました。


構成・演出:指田珠子


キャスト:彩風咲奈 / 縣千 / 紗蘭令愛 / 蒼波黎也 / 華世京


トップと男役4人というちょっと珍しい構成。


そもそも宙組で起こった諸問題の根っこには、宝塚における「芸の伝承」の在り方についての問題があるのでしょう。


ベルばら四天王の頃には、アラン・ドロンが「同じ時代を生きる二枚目、稀代の美男子」で、「男役像の目標はアラン・ドロン」でよかったんですよ。


現代のハリウッドのイケメンスター...え、ちょっと待って…誰だろ?


(「アベンジャーズ」などで活躍するアクション系のスターはいますが…宝塚の男役像の生きたお手本となるとちょっと違う)


もう、宝塚の男役のお手本は、TV画面にも映画のスクリーンにも探しづらくなってしまった。


男役芸は「先輩男役から教わる」以外にない。


絶滅危惧種のような男役芸を、どう伝えるか。


ディナーショー『LAST MISSION』は、タイトルどおり、彩風咲奈から宝塚の未来を担う若き男役たちへの、公開授業を見ているようでした。


安寿ミラ振付のアルゼンチンタンゴ、南半球の港町のうら寂しい酒場に集う男達の暗い情熱と哀愁をダンスで表現という、新人公演世代の男役に


「やれるもんならやってみろ!」


課題に挑む!


『deja vuがにげる頃』は初期の『おしゃれカンケイ』のオープニング・テーマだった曲

deja vuがにげる頃 / coba : ピアノ(ソロ) / 初級


彩風咲奈の模範演技に、必死に食らいつく下級生たち。


縣、成長したなあ。リズムの取り方が正確なうえに、振りに「サウダージ(ポルトガル語で郷愁、憧憬、思慕、切なさ)」のうたごころがある。


華世京が『蒼穹の昴』を新人公演で演じた時には、時間の都合で割愛された『昴よ』を彩風咲奈と2人で歌う。


新人公演で彩風咲奈の役を5回も演じた縣による、「ファントム」のエリック役の瞳。あんなに太陽のただ中のように燦爛と輝く瞳を初めて見た。


父親のキャリエール役で彩風咲奈が「エリックお前は 私の 愛おしい 息子だ」と歌う


「You Are My Own」


縣の歌で泣くなんて、不意打ちでした。


想いが技術を凌駕する瞬間って、本当にあったんだ。


彩風咲奈は、歌舞伎の舞台で息子の初舞台を見守るお父さんのようでした。



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