『阿修羅城の瞳』正直感想
星組『阿修羅城の瞳』東京宝塚劇場千秋楽公演の配信を視聴しました。
管理人は、星組新人公演での『阿修羅城の瞳』も視聴しております。
タイトルの「阿修羅」とは、インド神話に登場する、修羅の世界に転生を繰り返し、ライバルの帝釈天と戦うことを永遠にやめられない鬼神のこと。
主役の病葉出門(わくらばいずも)の歌唱技術やアクションについては、本公演が圧巻なのですが、
『阿修羅城の瞳』というタイトルの意味は、新人公演のほうが伝わりやすかったと思います。
礼真琴演じる病葉出門は、例えるなら昭和のチャンバラ時代劇の風味があって、桃太郎侍風に言えば
「姓は鬼退治、名はわくらば」
夏の盛りの青葉の中で、1枚だけぞっとするほど赤く染まり、病に感染した兆候を示す葉っぱのような、何かに憑依された怖さがある。
本作品では、ヒロイン「闇のつばき」の正体は、阿修羅。
人間に倒されたのち、転生して童女になり、成人して愛の修羅を知ると阿修羅に転生する。
この地獄から極楽、また地獄の奈落の底へ突き落されて転生する、感情の振り幅のダイナミズムが、芝居のキモだと思うのです。
礼真琴演じる病葉出門は、阿修羅と同類の、戦いの神帝釈天。
どちらも生まれ変わり巡りあっては、愛の手練手管を武器にして、戦いの修羅を永劫に繰り返しているのでしょう(闇のつばき役の暁千星も、阿修羅に転生後は闘争心の塊で、愛の修羅はどこへやら)
新人公演で病葉出門を演じた稀惺かずとは、帝釈天らしさは希薄で、あくまで人間らしい恋愛感情や憐みの心の持ち主。
礼真琴の病葉出門は物語のエンディングの後も、鬼狩りを続けていそう。稀惺かずとの病葉出門は、もう生涯鬼は狩らないのだろうと感じる。
闇のつばきを演じる詩ちづるも、本職の娘役なこともあって、二人に恋が芽生え、過去を知り、
「私が愛した男は、私を殺した男だった」
と知った時の衝撃が生み出した感情のほとばしりが、修羅の炎で火あぶりにされた「地獄変」の残酷な美しさがあって印象的でした。