宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

もしも宝塚歌劇団が解散したら 1つのジャンルが消滅する時



私の配偶者は、宝塚歌劇に理解が無い。


管理人:「ああ、もしもコロナのせいで宝塚歌劇団が解散したら、私は何を楽しみに生きればいいのだろう」


配偶者:「劇団四季とか見れば?」


そういう話じゃないんだよ。


ケンブリッジ大学とかでは、学生演劇で女性だけの編成で、フェミニズムとかジェンダーとかを問う作品を上演するサークルがあるらしいですし、


日本以外にも、中国や台湾に越劇という、京劇を女性の役者だけで演じる郷土芸能があるらしいですが。



龍飛鳳舞 幕後花絮 春美


私は結局「男役芸」が見たいんだよ。ブロードウェイに行っても見られないものを偏愛しているんだよ!


もしも宝塚歌劇団が解散したら、100年かけて紡いだ男役芸という1つのジャンルそのものが、この世から永久に消えてしまうかもしれないんだよ!

浅香光代さん、「男役」だったんですよ

ああ、ワイドショー大好きおばちゃんとしては、ミッチーサッチー騒動が懐かしいなあ・・・


ここは宝塚版ですので、浅香光代さんが「女剣劇」の「男役」だった功績を紹介させていただきます。



剣劇、そして女剣劇の全盛時代を知る人は少なくなった。時代劇や新国劇から生まれた剣劇、「チャンチャンバラバラ」から付いた「チャンバラ」は人気だった。チャンバラごっこはちょっと前の男の子ならみんなやったのではないだろうか。


「美少女戦士セーラームーン」は大ヒットしたけれど、そのはるか前、昭和初期に「剣劇」を若い女性がやったら、と生まれたのが女剣劇。


浅香さんは14歳で一座を旗揚げする。若い女性が見事な殺陣で男役をバッサバッサと斬る。その姿に漂うお色気。


「時代劇」という名前は残っていても、新作時代劇が製作されることはほとんどなくなり、「新国劇」とか「女剣劇」と言われても「何それ?」な時代となりました。


渡辺えりさんの国定忠治

渡辺えり×キムラ緑子が女剣劇一座で壮絶バトル! 喜劇「有頂天一座」が新橋演舞場で開幕




…第2次世界大戦後は民主思想の発達に伴い一時は急速に影を薄めたが,昭和20年代の後半にはまたかなり行われるようになった。


なお,剣劇の全盛期に派生的所産として〈女剣劇〉が生まれたが,弱いとされている女性が主演して,女装あるいは男装して剣をふるって多くの男性を斬り倒すところにやや倒錯的な興味をひき,不二洋子,2代にわたる大江美智子(初代は1939年に病死,2代は1919年生れ),伏見直江,富士嶺子,筑波澄子,浅香光代(1931‐ ),中野弘子らの女剣劇一座を輩出させた。


戦後はむしろ,この女剣劇が剣劇の劇団を代表するような形で人気を集めていたが,高度成長期とともに衰え,現在では一つのジャンルとしてはほとんど消滅しているといってよい。…

女剣劇や大衆演劇は、確定した台本というものが無く、江戸時代~大正時代に旅回りの役者が農村の村祭りで神社の境内で演じていたような芝居を、口伝で伝えており、


芝居の土台のフォーマットとなる道徳観(親子関係、上司と部下の関係、男女関係など)が前近代の価値観なので、戦後、お客が学校で夏目漱石的「近代人の苦悩」とか「GHQの民主主義」を学んだ世代になると、客の嗜好と合わなくなり、時代遅れとなって衰退してしまったんですね。


もしそこで松竹などの大資本が支援してテコ入れしていれば、今でも宝塚のライバルとなる面白いものが見られたかもしれない・・・


浅香光代さんの死とともに、女剣劇という1つのジャンルが完全に終わった寂しさを感じます。


最晩年まで、チャンバラ時代劇の復活の為、後進の指導にあたられた浅香さんの時代劇への思いを紹介させていただくことで、ご冥福をお祈りいたします。



浅香は「私は怒ってるのよ!」とミッチー節をとどろかせ、時代劇の衰退に「誰かちゃんとしたのが付いて言ってやらないと。古い人の芝居を見ると、やっぱりいい役者だったなと…」と、時代劇の所作がおろそかになっていることを嘆いた。


 殺陣の所作についても「今は、教える方もいいんだよ、いいんだよって言うと、習う方もこれでいいんだって言うんですね。本当に残念だなって」と、教える方にも厳しさがないと指摘。事実婚の夫の世志凡太も「時代劇、変わっちゃった。まずは形ですよ」と訴えていた。




演じられる場が減っている時代劇の復活を目指し、台東区に七年前に誕生した俳優養成所「日本時代劇研究所」(寿一)が十二~十四日、旗揚げ公演を雷5656(ゴロゴロ)会館(浅草三)で開く。演目は三本立てで、「美剣士と魔界長屋」ではロシア出身の女優が主演し、ベテラン剣劇女優の浅香光代さん(91)=台東区在住=が監修。浅香さんは、体に染み付いた殺陣の技術を熱心に伝授している。