ナウシカ歌舞伎に初めて宝塚を見た時の衝撃を思い出した
あの「なんじゃあ、これは!」の衝撃をもういちど
覚えていますか?宝塚を初めて見た時の衝撃と戸惑いを。
劇場を取り巻くファンの熱い目つき、パンフのがっつり舞台メイクの写真にぎょっとしたこと。劇場の広いロビー、シャンデリア、燃えるように真っ赤な絨毯や客席にテンションが上がったこと。
幕が開いて、初めて男役さんの声を聞いた時、「え、これ男?やだ、かっこいい、でも女性だよね、えーと、どうしよう♡」とときめいて。
正直、長年ヅカファンをやっていると慣れてきて、あーだこーだ不満も言いながら見るようになってしまいます。知る哀しみです。
未知の衝撃を脳みそフル回転で処理していた、あの体験をもう一度味わいたい!そうだ、歌舞伎を見ようと思ったのですが、さてきっかけがない。
近所の映画館で「ナウシカ歌舞伎」をディレイ上映すると知り、行ってまいりました。やっぱり初めて行くならあらすじを知っているお話のほうがいいよね。
主な配役
・クシャナ役の中村七之助さん(いだてんの主役の中村勘九郎さんの弟)
今回の実質主役!本人は30代ですが、女将軍の役柄的に違和感が少なく、アニメに寄せた白い甲冑にマントを翻す所作が、女形の優美さと、リアル男性の筋骨の織りなす颯爽とした風情があって、カッコイイ!歌舞伎の女形なのに宝塚の男役さん感がある(驚)
宝塚のアニメ・漫画原作ものの演出
宝塚ではすみれコードの縛りはあるんだけど、原作の世界観を壊さないよう、主役はもちろん、それ以外の脇役の演技プラン、背景、衣装デザイン、小道具など細部まで慎重に統一されていますよね。ポーの一族の世界に江戸の長屋のおっちゃんは出てきませんよね。
歌舞伎のフォーマットは腐海のようにすべてを飲み込む
予告編のとおり、音楽、背景や王蟲はアニメに寄せております。衣装は、ナウシカとクシャナ姫は原作の面影を留めておりますが、脇の兵士や民の衣裳は完全に歌舞伎のまんまです。ヅカでいうと、谷先生がバウでやる落語に出てきそうな長屋のおっちゃんが
「あれ、そこにおわするは、虫愛ずる姫とうわさの 風の谷に住まいいたすといふ ナウシカ殿ではありませぬか ささ こちらへ」 全編この調子です。
女形芸、宙乗り、見得、本水、語り口調・・・400年続く歌舞伎演出の様式美(フォーマット)が腐海のようにナウシカ世界を飲み込んでいるように思いました。
うーん、原作ファンとしては、脇役の方の演技プランや衣装の世界観に、もっと統一感があればより満足度が増したのに、という思いはあります。もし再演があるならば、脇役の方達の衣裳を、もっと原作寄りで用意してください松竹様。
いつか歌舞伎座の歌舞伎を見たくなった
初心者にとっては「歌舞伎の様式美ってどんなもの?」と勉強になりました。が、これは普段歌舞伎座でやっている歌舞伎とは別のものなんだろうな、とも思いました。いちど歌舞伎座に遠征してみたいな、という目標ができました。
「ナウシカ歌舞伎」まだ映画館で上映中ですので、ご興味のある方はいちどいかがでしょう。
ローチケ ディレイ上映案内
https://l-tike.com/play/mevent/?mid=468200