宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

ピガール狂騒曲 珠城さんは「男役」or「男装」役?

ピガール狂騒曲、チラシ出ましたねー。おお、月組に珍しく、ほんのり背徳のかほりがするー(笑)

「十二夜」ってどんな芝居

原作であるシェイクスピアの「十二夜」、ヒロインはヴァイオラという女の子で、訳あって男装しています。好きな男性(オーシーノ公爵)には好かれず、苦手な女性(オリヴィア)に好かれ、のてんやわんやの祝祭喜歌劇です。


(シェイクスピア時代の上演はストレートプレイではなく、オペラほど歌うでもなく、宝塚式のセリフと歌の混じった芝居でした)


さて、ヴァイオラ(男装少女)設定は誰だろう。美園さんが男装少女・・・うーんワクワクが足りんなー(笑)いっそ珠城さんがヴァイオラ役で、どうよ?


演劇の本質

シェイクスピアの時代は女優は舞台に立てず、少年俳優が女性役を演じていました(男子校のカヅラカタ歌劇団やね)


シェイクスピア時代:普段女性役を演じる男性が「男装した女性」役を演じる。
       宝塚:普段男性役を演じる女性が「男装した女性」役を演じる。


おお、なんとややこしい(笑)シェイクスピア時代と宝塚って、正反対のようで実は本質的に似ているかもしれない。今のブロードウェイに女形も男役もいないから、ある意味原点回帰で上演できるのは、歌舞伎か宝塚しかないんだよなー。


あー遠征したくなってきたなー。楽しみです。

聖乃 あすか バウ初主演! 長いあらすじを意訳してみた

聖乃 あすかさん、初主演、おめでとうございます!

あらすじ

バウ・ミュージカル

『PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-』

作・演出/竹田 悠一郎


薔薇戦争(1455~1485年)-ランカスター家とヨーク家が国内の諸侯・騎士を二分して権力闘争に明け暮れた、イングランド史におけるターニングポイントとなったこの戦いは、ランカスター家の女系血筋を引くヘンリー・テューダー(のちのヘンリー7世)が最終的に勝利、ヨーク家のエリザベス王女と結婚してテューダー朝を開き、近代イングランドの礎を築いていく。

シェイクスピア戯曲でも有名なリチャード3世とヘンリー8世の時代に挟まれ、これまで謎に包まれた人物とされてきたヘンリー7世が、ランカスター家(赤薔薇)の血を引く者として、ヨーク家(白薔薇)のエドワード4世、リチャード3世との争いの中で、権謀術数を操り、愛と憎しみ、欲望と策謀が渦巻く激動の時代を駆け抜け、イングランドの平和を願い、王冠を戴くべき男としての運命に挑み続けた姿を描く、意欲作。

この作品は、演出家・竹田悠一郎の宝塚バウホールデビュー作となります。   

ヘンリー7世って誰

シェイクスピアは薔薇戦争の時代を、歴代の王を主役にして連作劇にしていますが、戦争を終わらせたヘンリー7世を主役にした芝居は書いていません。その代わりライバルの「リチャード3世」をこれでもかの悪役に仕立てた芝居を作りました。ヘンリー7世はめっちゃいい奴設定。


なにせシェイクスピアのパトロン、エリザべス1世のおじいさん(そして今のエリザベス2世のご先祖)の話なので、悪く描けるわけがない。


つまりどういう芝居?

これまで謎に包まれた人物とされてきたヘンリー7世の「権謀術数を操り、愛と憎しみ、欲望と策謀が渦巻く」人生を描くということは・・・


意訳すると10分に1回は
「殿、謀反の疑いがあります!」
「捕らえよ、処刑だ!」
が繰り返される鬱展開ということではなかろうか(汗)


聖乃 さんにとっても竹田先生にとっても、修行になる公演になると思います。スカステ観劇になると思いますが、楽しみです。

縣千って普遍的な「男装の麗人顔」だと思う

注:これは「ワンス~」を見て、縣千さんの顔に惚れた女の のろけ です。

男装の麗人ってこんな感じ

唐突ですが私の中で「男装の麗人」のイメージといえばこの人なのです。


戦前の少女歌劇のトップオブトップ、私設ファンクラブ会員数2万人を誇ったタアキイこと水の江瀧子さん。


ね、何がすごいって、昭和の男役さんってやっぱり昭和顔というか、その時代の好みを反映した顔だなあと思うことが多いんですが、彼女は令和の時代にも通用する「男装の麗人顔」だと思いません?タアキイさん、当時としては長身(167センチ)だったそうで、あなた、今の宝塚でもトップいけるよ。

縣千は普遍的な顔だと思う

で、縣千さんってタアキイさんと顔は似ていないけれど、「普遍的な男装の麗人顔」系統だと思いません?ヅカファンを100人集めて好みの顔を集約したらこんな顔が抽出される、みたいな。


惜しむらくは・・・両者とも歌が(以下略)



ワンス~第一幕考察①主役は「ユダヤであること」?

雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』を観劇しました。


今回のお話、なんでこんなに「ユダヤであること」を強調しているんでしょうね?バレエ教室のシーンでは、高校の教科書の記述みたいな「ユダヤの歴史」を歌っているし。


続くヌードルスとデボラのシーンは、ユダヤ王国の皇帝になるの、皇后になるの、淡い初恋の男女の会話というより、ユダヤの民が神様への決意表明を言い合っているみたいだし。


小池先生はこのお話の上演企画を長年温めていたそうですが、この作品のヌードルスという役は、「ポーの一族」における明日海エドガーほど演者を選ぶ特殊な役柄でもないと思うんですよ。貧困から成りあがるために犯罪の道へ、というのは普遍的にある話ですし。


それをあえてこれだけ「ユダヤ」について言及するということは、小池先生はユダヤ問題ー差別と芸能ーというものにものすごく気を使っているんだろうなあ、と思うのです。


この話題、機会があれば続きをまた。

実は色っぽい?「こんにちは赤ちゃん」 天国の梓みちよさんへ

歌手の梓みちよさんが亡くなったそうです。宝塚音楽学校のご出身でいらっしゃったのですね。入団はされなかったようですが、雰囲気から察するに男役志望でいらしたのかな。


「こんにちは赤ちゃん」には、実はめったに放送されない3番の歌詞があります。


こんにちは赤ちゃん お願いがあるの

時々はパパと ホラ二人だけの静かな夜を つくってほしいの

おねがい赤ちゃん おやすみ赤ちゃん


ふふふ・・・やだー 永六輔さん なんで産後3か月の私の気持ちがわかるのー(笑)


梓さんはこの歌のイメージがあまりにも強くて、一時レパートリーから外された時期があったそうですが、うーん気持ちもわかるなあ。音校に入るような方ですものねえ。もし贔屓がディナーショーでこの歌を歌っ(以下略)



この歌に関わった方々は皆天国へ旅立たれてしまわれましたが、


この世に新たな命が生まれるたび、この歌は流れて、あなたに命を与える、素晴らしい作品に巡り合えたこと、本当に幸せなことだったと思います。


ご冥福をお祈りいたします。