宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

ナウシカ歌舞伎に初めて宝塚を見た時の衝撃を思い出した


新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング本予告


あの「なんじゃあ、これは!」の衝撃をもういちど

覚えていますか?宝塚を初めて見た時の衝撃と戸惑いを。


劇場を取り巻くファンの熱い目つき、パンフのがっつり舞台メイクの写真にぎょっとしたこと。劇場の広いロビー、シャンデリア、燃えるように真っ赤な絨毯や客席にテンションが上がったこと。


幕が開いて、初めて男役さんの声を聞いた時、「え、これ男?やだ、かっこいい、でも女性だよね、えーと、どうしよう♡」とときめいて。


正直、長年ヅカファンをやっていると慣れてきて、あーだこーだ不満も言いながら見るようになってしまいます。知る哀しみです。


未知の衝撃を脳みそフル回転で処理していた、あの体験をもう一度味わいたい!そうだ、歌舞伎を見ようと思ったのですが、さてきっかけがない。


近所の映画館で「ナウシカ歌舞伎」をディレイ上映すると知り、行ってまいりました。やっぱり初めて行くならあらすじを知っているお話のほうがいいよね。


主な配役

・ナウシカ:尾上菊之助(寺島しのぶの弟)
御年42歳であります。(歌舞伎はすみれコードないよね 汗)正直に申し上げますと、寺島しのぶさんがナウシカ役をやっている感があって、脳がなかなか彼を「ナウシカ(16歳)」と認識してくれず(汗)

見惚れるというよりは「これが女形の発声、所作かあ、勉強になるなあ」と思って拝見しておりました。けがの影響もあったのかなあ、見せ場や動きが少なくて、本人も不本意なところはあっただろうな。


・クシャナ役の中村七之助さん(いだてんの主役の中村勘九郎さんの弟)
今回の実質主役!本人は30代ですが、女将軍の役柄的に違和感が少なく、アニメに寄せた白い甲冑にマントを翻す所作が、女形の優美さと、リアル男性の筋骨の織りなす颯爽とした風情があって、カッコイイ!歌舞伎の女形なのに宝塚の男役さん感がある(驚)


宝塚のアニメ・漫画原作ものの演出

宝塚ではすみれコードの縛りはあるんだけど、原作の世界観を壊さないよう、主役はもちろん、それ以外の脇役の演技プラン、背景、衣装デザイン、小道具など細部まで慎重に統一されていますよね。ポーの一族の世界に江戸の長屋のおっちゃんは出てきませんよね。


歌舞伎のフォーマットは腐海のようにすべてを飲み込む

予告編のとおり、音楽、背景や王蟲はアニメに寄せております。衣装は、ナウシカとクシャナ姫は原作の面影を留めておりますが、脇の兵士や民の衣裳は完全に歌舞伎のまんまです。ヅカでいうと、谷先生がバウでやる落語に出てきそうな長屋のおっちゃんが


「あれ、そこにおわするは、虫愛ずる姫とうわさの 風の谷に住まいいたすといふ ナウシカ殿ではありませぬか ささ こちらへ」 全編この調子です。


女形芸、宙乗り、見得、本水、語り口調・・・400年続く歌舞伎演出の様式美(フォーマット)が腐海のようにナウシカ世界を飲み込んでいるように思いました。


うーん、原作ファンとしては、脇役の方の演技プランや衣装の世界観に、もっと統一感があればより満足度が増したのに、という思いはあります。もし再演があるならば、脇役の方達の衣裳を、もっと原作寄りで用意してください松竹様。


いつか歌舞伎座の歌舞伎を見たくなった

初心者にとっては「歌舞伎の様式美ってどんなもの?」と勉強になりました。が、これは普段歌舞伎座でやっている歌舞伎とは別のものなんだろうな、とも思いました。いちど歌舞伎座に遠征してみたいな、という目標ができました。



「ナウシカ歌舞伎」まだ映画館で上映中ですので、ご興味のある方はいちどいかがでしょう。


ローチケ ディレイ上映案内
https://l-tike.com/play/mevent/?mid=468200

花組「アウグストゥス」まさか理事降臨ではあるまいな


花組次回本公演、古代ローマとな!

公式あらすじ

ドラマ・ヒストリ

『アウグストゥス-尊厳ある者-』

作・演出/田渕 大輔


ローマ史上初の皇帝となり、「尊厳者」を意味する“アウグストゥス”の称号を贈られたオクタヴィアヌス帝。彼はいかにして、志半ばで死したカエサルの後継者となったのか?

カエサルの腹心・アントニウスや、ブルートゥスらとの対立の果てに、「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」の境地に至った若き英雄の姿を、フィクションと史実とを織り交ぜて描く。

紀元前46年。政敵ポンペイウスを討ち、ローマに帰還したカエサルの凱旋式当夜。ユリウス家の邸では、カエサルと敵対していた貴族たちとの和解の宴が催される。そこに現れた招かれざる客…それは、今は亡きポンペイウスの娘・ポンペイア。彼女は無謀にもカエサルに斬りかかり、父の仇を討とうとするが、ユリウス家の末裔であるカエサルの大甥・オクタヴィウスがそれを阻止する。オクタヴィウスは、ポンペイアを赦す事こそ真の和解の印だとカエサルに訴え、彼女を助けようとするのだが…


配役は?

オクタヴィアヌスの青年期~壮年期までやるとすると、ライバルとなるアントニウス
(クレオパトラの愛人)役は瀬戸さんかな。クレオパトラは誰だ。カエサルは・・・


そういえば2006年、ちょうどこの時代を背景にした「暁のローマ」というお芝居を月組で上演しておりました。
参考までに配役を

2006年 暁のローマ 配役

主な配役 本公演 (新人公演 )


カエサル 轟 悠 (星条海斗 )

ブルータス 瀬奈じゅん( 龍 真咲) 

ポルキア  彩乃かなみ( 白華れみ )

*~*~*

カシウス 大空祐飛( 白鳥かすが )

アントニウス 霧矢大夢 (明日海りお )

オクタヴィアヌス 北翔海莉 (光月るう )

クレオパトラ 城咲あい (夢咲ねね )


・・・ちょっと待って。カエサル役に理事降臨再びではあるまいな?


注:もちろん主演という意味ではありません。理事も本公演に降臨するなら、そろそろ脇の重鎮、ゴッドファーザー的役回りに移行してくれないかなーという希望的観測です。

あなた、本物? アナスタシア先行ポスター出ましたね


「アナスタシア」先行画像出ましたねー


公式あらすじより

アカデミー賞で歌曲賞、作曲賞にノミネートされた1997年公開のアニメーション映画「アナスタシア」に着想を得て制作されたミュージカル『アナスタシア』。ロシア革命で殺害された皇帝一家の末娘アナスタシアが、密かに難を逃れて生きていたという「アナスタシア伝説」にもとづいたロマンティックな作品は大好評を博し、2017年の初演から2019年3月までブロードウェイでロングラン上演されました。2018年のスペイン、北米ツアー公演を皮切りに世界各国で上演されてきた話題作が、2020年春に上演される日本公演に続いて、ついに宝塚歌劇版として登場致します。詐欺師でありながらも純真な心を持つ青年ディミトリと、アナスタシアによく似た記憶喪失の少女アーニャが繰り広げる愛と冒険の物語に、どうぞご期待ください。

アナスタシア伝説って?

「神々の土地」に出てきたロマノフ皇帝一家は皇太后以外、皇帝夫妻もオリガもアレクセイもアナスタシアも、みんな処刑されていました。が、政府は「皇帝の家族は安全な場所にいる」と偽りの発表をしました。すると世界中に「我こそはアナスタシアなり」という者が出るわ出るわ、一説には20人以上の自称アナスタシアがいたそうです。


しかもみんな記憶喪失

自称アナスタシア達は、ロマノフの遺産相続を主張して裁判を起こしますが


・王宮時代の記憶があやふや→処刑されかけたショックで記憶喪失
・アナスタシアの写真と顔が違う→逃げる際、事故で顔をぶつけた


みんなこんな言い分(笑)


詐欺師と記憶喪失の少女、という設定はここから来ているのだろうな。


原作アニメ公開時はまだ夢があった


結局真実が判明したのは、ソ連が崩壊し、アナスタシアたちの埋葬場所が発見され、DNA鑑定がなされた2000年代のことでした。このミュージカルの元ネタとなったアニメーション映画「アナスタシア」が公開された1997年は、まだギリ、アナスタシアがどこかで生きているかも、と思えた時代だったんですよ。


蛇足 ソ連のおもひで


昭和の頃、共産主義の国というのは、なにしろ情報が無い。幹部の序列もよくわからない。日本のニュースでは、国家行事の際、クレムリン前の大階段での共産党幹部の並び順を見て、誰が路線を外れたの、彼が次期ソ連トップ(書記長)か?などと予測していました。


ヅカファンも似たようなことしてるよね(笑)

エル・ハポン 斬っていいのは斬られる覚悟のある奴だけだ

シンプルな話のはずなのに

昭和のころ、まさにエルハポンみたいな雰囲気のポスターの、チャンバラ時代劇とか、西部劇とか、そういうものがありました。


だいたい見知らぬ土地にやってきた主人公が、そこに在住する女性と知り合い、その街で暗躍する黒幕をやっつけて、クサい別れのセリフを言って、また別の街へと旅立つ、みたいな話だったな。


うん、ポスターに偽りはない(笑)


まず「スペインにハポン性を名乗る人々がいる・・・」のナレーションでオチも見える話ですよね。

話の行方が視界不良

ねえ、大野先生。そのワンパターンにいかに色を付けるか、で和賀家の遺恨話をいれているんでしょうけどね。冒頭いきなり藤九郎が乱入して、治道が斬るの斬れないの言って、2人とも船に乗るシーンね。


見ている私はそんな険悪な二人を同船させるなんて!とびっくりして、行先もよくわからない船に、自分も無理やり乗せられた気分になったぞ。船の中はみんなものすごーく気を遣っただろうな。支倉さん、胃に穴が空いたんじゃあなかろうか・・・


シンプルな話をややこしく語って、余計な混乱を与える作劇は感心しません(怒)


戦争を知らない子どもたち

・怒りに任せて刀を抜いて、どうしていいかわからなくて固まっているカタリナに優しく「力を抜いて、指を放して」
・殺してやる!とイキっている藤九郎に「死んでやるべきかどうか」
・負けを認められないエリアスに「こんなときは、参ったというんだ」


このへんのセリフ、治道さん戦場で死線をくぐって、洗っても消えない血の匂いを知っているんだなあと思う。エリアスや藤九郎は戦場に出てないもんな。


昔ハードボイルドというものがあって

このお話の作劇にはいろいろツッコミどころがありますがね。治道さんの生きざまに


「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
「タフでなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格がない」
                      byレイモンド・チャンドラー
的なハードボイルドなサムライ魂を感じたので、もうね、許しちゃう(笑)
甘いなー自分。

愛月さん2番手羽!太陽神と大魔王が並び立つオーラの星組


愛月さん、2番手羽おめでとうございます!


いやー、礼さんと愛月さんが、大羽をしょって並んでいるのを目の当たりにすると、これだけ対照的なトップと2番手も久々かもしれない。


例えると


礼真琴

・わかりやすいイマドキの明るさ

・ミシュラン星レストランの正統的フランス料理

・輝く太陽神

愛月ひかる

・よくわからんが古風な凄み

・好きな人にはたまらない発酵食品

・ダークな大魔王


・・・いやね、羽って漫画の集中線みたいにみえません?オーラがバーッて発散しているみたいに見えません?


そして、愛月さんはここから、さらに先に行けるのか?


あーっ そわそわする(笑)