宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

風間柚乃が2番手”格”ニック・キャラウェイ役の意味は







主な配役
ジェイ・ギャツビー  30代前半の謎に包まれた紳士的な男性。陸軍の将校を経験した後に、禁酒法時代のアメリカにおいて酒の密輸に手を染め、若くして富を得る
月城 かなと


デイジー・ブキャナン トムの妻で、ギャツビーの元恋人。ニックのまたいとこにあたる。黒髪の軽薄で天真爛漫な愛らしい女性。ルイビルの裕福な良家の出で、結婚前には社交界の華としてアイドル扱いされていた。  
海乃 美月


トム・ブキャナン デイジーの夫で、ニックのイェール大学時代の学友。淡青色の目をした30代の壮健で横柄な男性。シカゴの莫大な資産家の出で、学生時代にはアメリカン・フットボール選手として名を馳せた。  
鳳月 杏

ニック・キャラウェイ  
ギャツビーの隣人で、本作の信頼できない語り手。29歳(作品の最後で30歳になる)の心優しく物静かな好青年。中西部の裕福な名家の出で、イェール大学を卒業し、ニューヨークの証券会社に就職した。 
風間 柚乃


ふむ。風間 柚乃がニック・キャラウェイ役。


これまでの配役では、



1991年 雪組 宝塚大劇場・東京宝塚劇場 配役
ジェイ・ギャツビー - 杜けあき
デイジー・ブキャナン - 鮎ゆうき
ニック・キャラウェイ - 一路真輝
トム・ブキャナン - 海峡ひろき



2008年 月組 日生劇場 配役
ジェイ・ギャツビー - 瀬奈じゅん
デイジー・ブキャナン - 城咲あい
ニック・キャラウェイ - 遼河はるひ
トム・ブキャナン - 青樹泉


1991年上演版でトム・ブキャナンを演じた海峡ひろきさんは、いわゆる別格路線だった方、


2008年の月組での上演は別箱ですが、 青樹泉さんは遼河はるひさんの番手を超えたことは無かった。


トム・ブキャナンとニック・キャラウェイの番手問題


映像版では、トム・ブキャナンの番手が上?


『グレート・ギャッビー』は、小説版と映像化したものを見るのとでは、大分印象が異なる作品だと思います。


映像では、主役のギャッビーの目線で語られる、夜ごと繰り広げられる狂乱のパーティ、


現代の宝塚の男役芸の源流である、モンパリ初演の頃の1920年代のアメリカの燕尾の着こなし、


そして、報われぬ恋を求めてやまない、闇稼業で手を汚しても、ギャッビーへの無垢な思いを持ち続ける男の寂しい背中、


ストーリーの波乱万丈でひきつけるというよりは、とにかく「男役芸の極致」をたっぷり魅せないといけない。


映画版でギャッビーを演じたのは、ロバート・レッドフォードにレオナルド・ディカプリオだもんね。


ギャッビーの想い人デイジーと、ディジーの夫トムとの三角関係の緊張感がドラマの核となるので、


”ギャッビーの友人”に過ぎないニック・キャラウェイよりも、”ギャッビーの恋敵”トム・ブキャナンのほうが、番手が上でもおかしくはない。



原作小説では、ニック・キャラウェイのほうが印象深い


小説版の『グレート・ギャッビー』の冒頭は、このように始まる。


誰かのことを批判したくなったときには、この世の中の人がみんなおまえと同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思いだしてみるのだ。


Whenever you feel like criticizing anyone, just remember that all the people in this world haven’t had the advantages that you’ve had.


ニック・キャラウェイの父親の言葉



いきなりニック・キャラウェイの父親が息子に


「お前はこの格差社会で、親ガチャ当たりくじを引いたおかげで、今の地位があることを忘れるな。」


と説教する場面から始まる。


原作は、ずっとニックの視線から語られる「或る男の一生」である。


主人公の気持ち、ヒロインの気持ち、ライバルの気持ち、何でも知っていて読者に教えてくれる、引きのカメラで全体を見渡せる「全知の語り手アングル」ではない。


読者は「ニック・キャラウェイ アングル」だけを頼りに、物語の全体を捉えていかなければならない。


読者はニックの視線で、ギャッビーとディジーとトムの三角関係の秘密を知っていく。読者にとっては、トムは薄っぺらい金持ちのボンボンである。主役はギャッビーで、2番手はニックという印象。




風間柚乃爆上げというよりは


月組も気が付けば95期神7の月城さんがトップ、98期唯一の御曹司、暁さんを星組に出し、2番手羽を背負う鳳月さんは92期、真風氏の同期である。中卒とはいえ、いつまで在団してくださるかはわからない学年。


今の宝塚、95期路線が詰まっていて、96期~99期あたりの路線男役が各組で三つ巴しているようで、


スターはたくさんいるが、エースで4番のトップ候補が足りない。


95期路線たちも、いつまでも若いようで、凄く若いという学年でも無い。


風間柚乃爆上げに見えて、100期はもう研9。


2番手になっても全くおかしくはない学年であるのよね。


思えば、1991年に上演された「華麗なるギャツビー」初演時の杜けあき。男役芸の精華を体現した寂しい背中を魅せた彼女は、当時まだ研13だったのよね。


昭和の男役は早熟だったのか、今の男役のモラトリアム期が伸びたのか。