雪組『39 Steps』感想
雪組公演 バウ・ヴォードヴィル 『39 Steps』を配信で視聴いたしました。
うーん・・・
原作としてクレジットされているジョン・バカン「三十九階段」は、戦前のヒッチコック監督版をはじめ何度も映像化され、最近もベネディクト・カンバーバッチ主演でTVドラマ化された人気作なのです。
田渕大輔バージョン『39 Steps』は、
・キャラのセリフに「相手の発言を受けて、そのキャラが考えたことを話している」感が薄い。お互いがあさっての方向にボールを投げてプレイが成立しない野球を見ても、観客はつまんないよね。
・1時間5分の枠しかないのに、伏線はあまり回収されず、本筋と関係ないシーンが多い。(お色気修道女とか何だったんだろう)
・本物のスパイが「実は私はスパイではありません。あいつこそスパイ」とか言うのだろうか。コントか?
ヒッチコック監督の映画版では、1時間20分の枠で
・イギリスとドイツが戦争に突入する寸前の、1914年初頭のロンドンの事情
・ドイツのスパイたちが追っている機密情報は「イギリスの最先端の戦闘機のスペック」である。
・ラスト、機密の軍事情報は「図面」とか「文書」でなく、「驚異的な記憶力を誇る男の脳内にあった」というオチ。
がすっきりとまとめられていたんですよ。
田渕先生ねえ、
何を考えているのかよくわからない男が主人公で、
よくわからない男がよくわからない組織に殺されて、
キーアイテムの黒革の手帳にある暗号の謎も結局ほったらかしで、
・・・
宝塚のバウホール公演だからといって、「こんな脚本でも客は来る」では、ジェンヌの技量とファンの寛容に甘えていると言われかねませんよ。