いよっ!縣、千両役者!『夢介千両みやげ』新人公演感想
縣千主演『夢介千両みやげ』新人公演を視聴したしました。
あがた、尊い
彩風さんの夢介を拝見した時は、
彩風夢介=お江戸のシティハンター説
彩風夢介は、出演時間の95%はぬぼーっとしているように見せて、じつはそれはカモフラージュで、目の奥底は冷静な観察者っぽい。
千両の原資は、実は裏でお金持ちから頂戴した千両箱を貧しい人に配っている、義賊ねずみ小僧では?
とか、なーんか裏の顔がありそう。
縣の夢介は、
・日本一のお人好し
・人を疑わない
・気は優しくて力持ち。いざというときは、わーんぱーんち👊
女の子:えーん。おなかがすいたよう。
夢介:可哀そうに。さあ、ぼくの顔 お金で、美味しいあんまんを買って。
女の子:わあい!
縣夢介=アンパンマン説
『夢介千両みやげ 完全版(上)』(山手 樹一郎):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
「大枚千両を使い、江戸で道楽修業してこい。」
小田原の豪農である父親から途方もない宿題を与えられ、若き夢介は旅立った。
力は強いが底抜けのお人好し。懐中を狙った名うての美女道中師・お銀も、そのとぼけた温かさに、いつしかベタぼれに。
よき女房になろうと、ともに江戸に入ったまではよかったが……。
おおらかなヒーロー夢介に女スリお銀がほれ込んだ。戦後日本の心を潤した山手樹一郎の代表作!
私は、小さな子供にウケるものは、実は深いところで民族の伝統的な価値観の根っこをとらえている、と思っておりまして。
いつの時代もちびっこに人気のアンパンマン。
自分の顔を他人に食べさせるというぶっとんだ設定には、実は仏教の教えに出てくる、菩薩が修行の為、飢えた虎に自分の身を与えたという説話に元ネタがあるそうです。
夢介はジャムおじさんならぬ、小田原の豪農である父親から、「この千両を生き金にしろ」という途方もない宿題を与えられて、
結果的に「当面の貧しさを抜けるための原資を与えらえたら、瞬時に賭博で散財せず、生き金にできそうな人」を見極めてお金を渡しているわけです。
もう、夏休みに子供会でお寺でお坊さんから聞くありがたいお話、仏教説話ですよ。
あがた、尊い
いやーっ、身体の使い方も上手いねえ。昭和の頃、おじいちゃんが田んぼを耕すためにクワを担いで畦道を歩いていた姿と、歩き方が一緒なんだもん。
華世京さんとならんで踊っているときも、動きが「都会の廓の踊りを、田舎者が神社の神楽で鍛えた動きの応用で踊っています」という硬派さがありました。
雪組の未来は明るい
で、華世京さん。朝美 絢さんの総太郎は、もう2枚目半というより2.9枚目まで振り切っていて、
女性を妊娠させて捨てようとしたり、美人局にひっかかった後始末を夢介に丸投げしたり、よく考えたらひでえ奴だが、イケメンで愛嬌があるから許されている(笑)。
華世京さんは、まあ、2.3枚目くらい(笑)朝美 絢に負けず顔面が強いが、
寺子屋通いの庶民でなく、親が高名な儒学の師匠の元に通わせたのに、ありがたいお話を全く聞いてなかっただろお前、的な、幼稚園から大学までエスカレーターで育ったボンボンぶりが鼻もちならないので、
「ひでえ奴」ぶりがあんまりゆるせねえ(笑)
踊りもいいねえ。深川マンボとか、日本舞踊の身体の動きのリズムと、ラテンのマンボのリズムを融合させるって難しいだろうに、
華世京のマンボは、確かに江戸の匂いがした。
熱愛のカルナバル~ラテン音楽大全集「マンボ深川」 峰 さを理 美翔 かずき
私的に印象的なのは、夢白あやさんの浜次【五明楼の芸者】
もうしょっぱから「はーいはいはい、今からワタクシ、オトコをたぶらかしまーす」と顔に書いて出てきたよ(笑)
夢介に色仕掛けをしかけて、思いがけずお金をもらって、あーやってらんねえ!とちゃぶ台返し。
男装をまねて宴席で羽織を着たという、粋でいなせな、江戸深川の辰巳芸者の意気と侠気(おとこ気)ここにあり。