男役真風涼帆の「粋」とは、何か
早く見たいけど見るのが怖い
めでたさも 中くらいなり 贔屓の退団公演初日
・・・ふう。
いつもは、大劇場公演の初日の夕方を、各報道機関による公演評と舞台写真のUP、まだかなーと、ワクワクして迎えるのに、
この土曜日は、結局PCの検索欄に何も入力せずに、日曜日の夕方になってしまいました。
そろそろ腹をくくって、重い腰をあげて、どれどれ・・・
最後にして最大のはまり役と言っても過言ではないかもしれない。
「格好いい真風涼帆」をこれでもか、と詰めこんだ。黒スーツにトレンチコート、革ジャケットをさっそうと着こなし、立っているだけで色気を漂わせる。
拳銃を構えるポーズ、頭からハットを手に取る動作一つを取っても、ほれぼれするほど洗練されている。
真風が積み上げてきた男役の演技が細部に宿る。
ああ、粋だなあ。
これほどまでに男役の「粋」を体現できる方って、これから現れてくれるのでしょうか。
男役の、「粋」。
実際に見てみれば、本当にそこにあるのに、言葉にしようとすると捉えどころのない、単純なのに複雑怪奇な、この存在。
以前オンデマンド歌舞伎で、最近襲名した市川團十郎(旧海老蔵)が、江戸で一番「格好いい粋な男」を演じる『助六由縁江戸桜』を視聴しました。
その時の解説で印象的でしたのは、
『粋』とは、何か? の定義。
歌舞伎においては、
「異性への媚態」「江戸文化の意気地」「諦めと恬淡」
だそうです。
「女歌舞伎」とも言える宝塚に翻訳すると、
異性を引き付ける、立っているだけで色気を漂わせる、男役の「フェロモン」(媚態)、
「ありのままの」リアル男性とは一線を画した、ほれぼれするほど洗練された、虚構を極めた男役の「意地」
花の盛りに自ら散り時を選ぶ、退団者オーラに潜む男役の「やせ我慢」
といったところでしょうか。
「バカラの夜」とは?
カジノ・ロワイヤルでの場面では、舞台中央に本作を象徴する巨大なルーレットが出現。カジノ最大のイベント「バカラの夜」のシーンでは、真風と芹香の対決をダンスで表現し、楽しませる。
ああ、バカラの夜。
バカラとは、カジノで行われる賭博です。
管理人はマカオのカジノで、お客がバカラ賭博をしているのを横から見ていたことがあります。
バカラは、ポーカーやブラックジャックのように、
客が「カードをもう一枚引くか、引かないか」
といった駆け引きはできません。
わかりやすく言うと、ディーラーが台の上のエリア、
仮に
「赤」エリア と
「青」エリア
としましょう。
「赤」エリアと「青」エリアに、それぞれカードを裏向きに2枚配ります。
客は「赤」が勝つか、「青」が勝つか、どちらかにチップを賭けます。
「赤」と「青」それぞれに賭けた客のうち、一番たくさんチップを賭けた人がカードをめくります。
2枚のカードの数字を足して、下1桁の数値が大きいほうが勝ちです。
「9」は極楽、「0」は地獄へ続く数字。(バカラとはイタリア語で「0」の意味)
(場合によってはもう1枚カードを引きますが、条件は機械的に決められています。引き分けもあります。)
・・・
紅子:それって、面白いの?客側には戦略も駆け引きも無い、勝率50%の、ただの丁半博打では。
管理人:まあ、ゲーム性というより、「場の空気」が面白いのでは?
確率50%とわかってはいても、
赤 青 赤 赤 赤 赤 赤 赤
と続いてくると、赤にかけ続けた客は、チップがどんどん増えてくるでしょ。
次はさすがにそろそろ青・・・いや、ここまで赤が続く確率はめったにない。いっそ赤のビッグウェーブに乗ろうか・・・
とか考えだすと、やめ時を見失うみたいよ。
あと、「カードをめくる権利」ね。
赤と青、それぞれに一番たくさんチップを賭けた人がカードをめくれるんだけど、
人生で、宝塚音楽学校の受験生が「宝塚音楽学校の合格者が発表された瞬間」に味わうような興奮って、めったにないじゃない。
たくさんお金を賭けた人ほど、
「早く見たいけど、見るのが怖い」
カードをめくる時のアドレナリンがすごいみたいよ。
紅子:アンタ、やったことあるの?
管理人:四国の、カジノで9億円をすった、某企業の元会長が言ってた。
「ギャンブルの何が魅力かっていうと“臨死体験”なんです。
一番シビれるのは、持っていったお金が無くなりかけて、最後の“これで終わり”というところから、元手まで取り戻すところ。
要は死にかけたところから生還する、そこでアドレナリンが出るんですよ。9億円のときは特に何も思わなかった」
と、その本質について熱弁する一幕もあった。
管理人:前会長からのメッセージは、
「ギャンブルをやったことない方は、絶対にしない方がいい」
紅子:さて、臨死体験を味わうのは、ボンドか、ル・シッフルか!
勝負の結果は、舞台にて明かされます!