クライ多め『エンジェリックライ』新人公演感想
『エンジェリックライ』新人公演を配信で視聴いたしました。
谷貴矢氏は、日曜朝の少女向けアニメのフォーマットでホラを吹いているようにみせて、こっそり「歴史オタク界隈で話題の学説を解説する」ことを作劇の骨格にしているタイプだと思います。
(『FORMOSA!!』も実は谷氏のホラロマンの作風に近くて、史実は小説よりも奇なりを体現した実在の人物をモデルにしています。史実の奇天烈さを宝塚的ロマンに落とし込む作劇術が不足していたのが残念)
さて、感想を一言で申しますと、
本公演は”エンジェリック・ライ”
新人公演は”エンジェル・クライ”
キリスト教的「天使」の世界観と、ギリシャ神話の神と人が愛し合い、交わり子を成す世界観を無理やりくっつけた本作。
本公演では、永久輝せあは、「作者の谷先生のトンチキな頭の中やウソのギミックを、お客様にどうにかわかっていただくこと」に労力を使っていたなあと思います。
個人的には、新人公演の美空真瑠アザゼルのほうが、
”類まれなる美貌と聡明さを持つが、その大変なる素行の悪さから、ついに天帝の怒りを買ってしまう堕天使”
の解釈に近かったです。
アザセルはエレナに対して「ウソをつけない、駆け引きできない、忖度もできない」制限がかかっていること、それゆえのもどかしい繊細な感情が自然に伝わってきて、達者ですわ。
おとめの特技欄に「テノール歌手の真似」って凄いな、と思っていましたが、ほんとにテノール歌手でした。大柄でもないと思うのですが、身のこなしで大きく見えるし、スター性もある。
ヒロインの初音夢は、ここが瀬戸内の島と言われても違和感が無い、けなげな娘さんで、天使と恋する不思議キャラとか、宝石ハンター(義賊)っぽいかと言われるとちょっと違うのですが(夜の女王の衣装が居心地悪そうで)
「島の外から来た人(?)」と一歩づつ距離を縮めてゆくさまや、マフィアの父のもとに生まれた葛藤を丁寧に演じていたと思います。