宝塚再開の出口戦略を考える 国はガイドラインを示してほしい
劇団四季26年ぶりの新作ファミリーミュージカル「カモメに飛ぶことを教えた猫」
コロナ禍前、最後に観劇した生の舞台は、息子と見た
劇団四季のファミリーミュージカル「カモメに飛ぶことを教えた猫」でした。
劇団四季のなんと26年ぶりの新作ファミリーミュージカルだそうです。
(26年間、旧作再演と版権ものだけだったというのも凄いなあ)
劇団四季:カモメに飛ぶことを教えた猫:全国公演プロモーションVTR(2019)
原作は、チリの小説家、ルイス・セプルベダ氏の同名児童小説。
(先日、コロナウイルスによる肺炎で死去されたのこと。ご冥福をお祈りします)
ひん死の母カモメから卵をたくされた猫のゾルバ。卵から孵ったカモメはゾルバをママと思い、自分もネコだと思って飛ぶことができません。
もうすぐ冬、南へ渡らなければ、カモメは死んでしまいます。
ネコはどうすればカモメに飛ぶことを教えられるのでしょう。
久々にザ・王道児童文学の世界に浸って心が洗われました。
(普段ヅカで恋愛劇ばっかり見てるからねえ)
版権もの主体、アンチスター主義ゆえの四季の苦境
宝塚ファンも寂しい思いをしておりますが、スターさんからのメッセージ動画を楽しみに、スカステや円盤や、キャトルの通販でスターさん監修グッズを買う、というトキメキチャージ(と課金)の方法があるわけです。
(路線男役さんなら会、という支援もあるわけです)
劇団四季と宝塚って、似ているようで正反対な劇団でして。
劇団四季は、劇場に来るお客に最高の作品を、最高の舞台技術を持った役者によりお見せする、をモットーに
・上演するのは基本ブロードウェイの大ヒットミュージカル
駄作の心配なし。ただし莫大な版権料が発生する。
→自由に円盤化、放送できない。
・アンチスター主義、完全実力性「一音落とす者は去れ」
配役は上演当日発表
→贔屓を見つけて応援できない(いつどこに出演するかわからない)
つまり、専門チャンネルで有料放送、とか、円盤やスターのグッズを売ってしのぐ、ということができない劇団です。
もし今の宝塚にスカステもタカラヅカ・オンデマンドもキャトルでスターグッズ通販も無かったら・・・うわあ・・・
正直、四季さんは宝塚よりもっと厳しいだろうな・・・とよそながら心配しておりましたが、やはり・・・
劇団四季の苦境
我々はこれまで、映像産業やタレント業など周辺の仕事には脇目も振らず、どうしたら劇場でのお客様の感動を最大化出来るかを考え、そこに全ての資産とマンパワーをつぎ込んできたのだ。演劇に注力した経営を続けてきた背景には、劇団創立者の思想がある。
コロナウイルスは、我々の、この「一丁目一番地」を襲った。演劇にこだわり、プレゼンスを高め、更に発展、拡大を目指す経営を守ってきたことが、逆にウィークポイントになってしまった。
国や自治体にあえてお願いしたい点が三つある。
一つ目は、中止した公演への金銭的支援。実害の5割でも構わない。これが示されれば、無理に興行を行う団体は少なくなるはずだ。結果として感染の収束を早めることにもつながる。
二つ目は、公演実施可能な条件を「ガイドライン」で示してほしいということ。どのような種類の公演が、どんな対策をして臨めば出来るのかを、ぜひ示してほしい。これによって救われる業界や団体は必ずあるはずだ。
(略)
いまの演劇人は、出血をしながら辛うじて生きながらえている手負いの動物のようなものだ。そしてこの動物たちは、国や自治体から「傷口の治療は『自粛』してくれ」と言われ、痛みに耐え、悶もだえ苦しみながら、社会のために自分の意思で従っている。
劇場での演劇は不要不急の大規模イベントでなく恒常的ビジネスだから
ドイツやアメリカ・ブロードウェイではロックダウン開始期から、演劇興行団体と行政が補償や再開の時期について協議しているそうです。
そもそもドイツやブロードウェイでは、文化は「心の栄養」的な抽象的な話でなく、観光業と密接に関連した重要な産業であり、一過性のイベントとは一線を画した恒常的なビジネスである、ときっちり認識されている。
専門家会議の方々はビジネスの専門家ではないのです。
政治家は演劇興行に関して、不要不急か否か、でなくて、経済活動と感染予防を両立させて興行を開催するためにはどうすればよいのか、ガイドラインを示していただきたいと思います。
幕を開けるためには、席をどれだけ間引いて販売すればよいのか、稽古時の留意点は、など、再開に向けてどのような準備をすればいいのか、見通しすらわからなくてはプランの立てようもないのだから。
劇団四季からメッセージ動画
劇団四季ファミリーミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」より、「友だちはいいもんだ」テレワーク合唱
劇団四季:友だちはいいもんだ:テレワークで合唱