『ポーの一族』考察①ヴァンパネラとは何?ウイルス?
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』舞台映像【30秒ver.】
ヴァンパネラ=ウイルス説
梅田芸術劇場版の『ポーの一族』を配信で拝見いたしました。
宝塚版では、登場人物は全員タカラジェンヌ(当然)ですが、梅田芸術劇場版ではエドガー、シーラ、メリーベル、老ハンナ、とヴァンパイア側の登場人物の多くが元ジェンヌで固められていた為、
宝塚版:エドガー、メリーベル、アラン、孤独な者同士の魂が惹かれ合う三角関係
梅田芸術劇場版:人間VSヴァンパネラの相容れなさ
に焦点が当たっていたように思います。
人間がヴァンパネラになると、成長も老化も止まり、(意識しなければ)鏡に映らない。脈も無い、冷たい手、まるで動く死体。
生殖能力が失われ、ヴァンパネラの男女の間で子を成すことがない。
ヴァンパネラの個体が生き延び、ポーの”一族”を増やすためには、”人間を狩る”必要がある。
生きていないのに、人間に依存して存在し、一族を増やすヴァンパネラって、何?
ウイルス?
吸血鬼=狂犬病ウイルスの妖怪?
唐突ですが、コロナ禍の続く2021年に上演された「ポーの一族」を拝見しながら、「ヴァンパネラって、ウイルスみたいだな」と思いました。
ヴァンパネラって、日本で言う「妖怪」の類に近いものだと思うのですが、
現代人は、新型コロナウイルスに感染することによって肺炎を発症することがある、ということを理解しておりますが、
科学が発達する以前、人は人知を超えた出来事は「妖怪のせい」にすることで納得してきた。
たとえばヴァンパネラの特徴とされるものって、狂犬病の患者の症状に似ているんですよ。
(1) 臨床症状
○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
ヴァンパネラの起源はいろんな説があるそうですが、個人的には何らかの伝染病感染による特殊な臨床症状が、「ヴァンパネラに襲われたせいだ」ということに繋がったのでは、と思ってみたり。
狂犬病ウイルスは、西洋ではコウモリ🦇によっても媒介されるそうですし。
(十字架♰を恐れるのは、臨終時の立会いにきた聖職者に対する、精神錯乱によるせん妄?音や光への感覚過敏から、雷⚡を異様に恐れる?)
生物と無生物、人間とヴァンパネラのあいだにあるもの
もう10年以上前ですが、生物と無生物(ウイルス)の違いを解き明かした『生物と無生物のあいだ』という一般向けの科学書を読んだことがあります。
ウイルスはいったん他の細胞に寄生すると、宿主細胞の道具を無断借用して、自分自身の遺伝子とそれを格納する殻を複製し、どんどん増えることができる。やがて宿主細胞を蹴破って一斉に飛び出し、次のターゲットを探す。まるでエイリアンみたいだ。
ウイルスは生物だろうか、それとも生物とはいえないものなのだろうか。
それは、当然のことながら、生物をどう定義するかによる。ちなみに生物と生命という言葉の区別も必要になるだろう。
生物とは作ることよりも、壊すことの方に一生懸命になっている。あえて自らを壊すことによって、増大するエントロピーを外へ捨て続けることで、時間の流れに対抗しようとしている。
まるでシシュポスの石運びのような、無限の、報われることの決してない営み。それが生命現象の本質ではないか。
ここから、生命とは、物質・エネルギー・情報の流れの中にあり、たえず変容し、更新されながらバランスを保っているもの──、つまり動的平衡であると定義できる。
この視点に立てば、新陳代謝も物質交換もない、動的平衡の状態にないウイルスは無生物である、と見なされることになる。
この「ウイルス」という単語を「ヴァンパネラ」という単語に置き換えたら
まるでヴァンパネラと人間との関係との説明をも、説明しているように思えません?
個々の人間はせっかく生まれ、成長しても、やがて老化し、死に至る。
しかし男女で子を成し、多様な個性を生み出すことで、伝染病や異常気象が何度おころうが、人類のうち誰かがワクチンなど画期的なものを発明し、
個々の死を乗り越えて、人類という種は存続し続けている。
宝塚歌劇団が、創設者も初期メンバーも皆鬼籍に入っても、ジェンヌは入れ替わり続け、劇団としての命は100年以上永らえているように。
ヴァンパネラはどこから来たのか。
子を成さず、次の世代に伝えるものも、残すものもなく、しかし存在し続けている。
ということで、
ヴァンパネラ=ウイルス 説でした(知らんけど)
紅子:知らんのかい!
管理人:18世紀にスコッティの村でヴァンパネラを見破るのが神父様で、19世紀のブラックプールでヴァンパネラを見破るのが医師、というのもよくできているよね。
大千秋楽公演(2月28日)はライブ配信に加え、国内60館の映画館でライブビューイングが行われる。台湾・香港へのライブ配信と、台湾の映画館でライブビューイングも発表された。
さらに、2月の東京国際フォーラム公演もライブ配信されることが決定(7日、13日)。通常アングルの他に「エドガーアングル」「アランアングル」が新たに登場し、通常アングルでは映しきれなかったエドガー、アランの表情や仕草にも迫る。