宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

暁千星はなぜダンスの輪に入れない?『ブエノスアイレスの風』



動き続ける周囲の中で、一人時間の止まった男



1900年代半ばのブエノスアイレス。反政府ゲリラのリーダーで政治犯として囚われていたニコラスが、特赦により7年振りに釈放される。


軍事政権が倒れ、民主制となった祖国で新たな人生を歩み始めたニコラスは、ダンスの才能を買われ、タンゴ酒場の花形ダンサーであるイサベラのパートナーとして雇われることとなるが、そこへかつての仲間リカルドが現れ…。


新たな生き方を模索する男の姿を通し、人生の意味を問いかける物語を、ドラマティックなタンゴを随所に盛り込んでお届け致します。


政府の腐敗に反発するような反政府ゲリラのリーダーって、だいたいその国の偏差値の高い大学に通っていた人が多いです。香港の民主化運動のリーダーたちも、逮捕時は20代前半でした。



香港“民主化デモ”描いた映画「時代革命」 台湾で上映 (2022年2月27日)


台湾で、香港の民主化デモを描いたドキュメンタリー映画が上映されました。


カンヌ映画祭にも出品されましたが、中国や香港では政府によって上映が禁止されています。


 25日夜、台北市内の映画館で一般公開されたのは、ドキュメンタリー映画の「時代革命」です。


 2019年に香港で起きた民主化デモに参加した市民たちの姿を撮影した映画で、カンヌ映画祭にも出品されました。


ニコラスがもし大学4年生、22歳で逮捕されたとして、7年間服役して、出所したら29歳。


私は刑務所で服役した経験が無いので、22歳から29歳までを堀の中で過ごすということが、どのようなことかはわかりません。


刑務所で10年以上服役して、出所後世の中の余りの変化に浦島太郎状態になる主人公を描いたTVドラマ『ムショぼけ』の原作者の言葉です。




沖田:刑務所に入った時から、時間が止まる。つまり、感情も記憶も“止まったまま”なんです。


誰かに恨みがあるなら、ムショでは毎晩、毎晩ずっと恨み続けてる。『ムショぼけ』の主人公ならば、自分を裏切った組幹部を14年間毎日、呪い続けたわけです。


 もし誰かに恋してるなら、ずーっと好きなまま。考えれば考えるほど、気持ちは強くなっていきます。


 出所後、その感情のまま当人や周囲に接すると、『いまさら何年前のことを言うんや、ボケてんのか』と呆れられてしまう。ムショ暮らしの人間が必ず経験するギャップですね。


『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』の、主人公ヌードルスも、少年時代に逮捕されて7年間服役していた話でしたね。


彼の初恋の人への執着も、もはやブロードウェイのスターとして成功したデボラからしたら


『いまさら何年前のことを言ってらっしゃるの』


だったのかなあ。


『ブエノスアイレスの風』のポスターは、動き続ける周囲の中で、一人7年前で時間の止まった男がいる、ということを象徴的に表現しているのでしょうか。