宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

月城の道真18歳、鳳月の業平38歳、20歳差バディ!





平安朝クライム

『応天の門』-若き日の菅原道真の事-

原作/灰原 薬「応天の門」(新潮社バンチコミックス刊)

脚本・演出/田渕 大輔


月刊コミックバンチで連載中の灰原薬氏による「応天の門」は、学問の神様と称される菅原道真と、平安の色男・在原業平が手を携え、都で起こる怪事件を次々と解決していく様を描く歴史サスペンス。


2017年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞を受賞するなど、歴史漫画として高い評価を得るこの作品を、宝塚歌劇ならではの演出で舞台化致します。


藤原良房とその養嗣子・基経が朝廷の権力を掌握しつつあった平安初期。


京の都では、月の子(ね)の日に「百鬼夜行」が通りを闊歩し、その姿を見た者を取り殺すという怪事件が頻発していた。


幼き頃から秀才との誉れ高き文章生・菅原道真は、ひょんなことから知り合った検非違使の長・在原業平にその才気を見込まれ、この怪事件の捜査に協力する事となる。


唐渡りの品を扱う勝気な女店主・昭姫(しょうき)らの協力の元、次第に事件の真相に近付いてゆく道真。


だがその背景には、鬼や物の怪の仕業を装い暗躍する権力者たちの欲望が渦巻いていた…。


うどん県、恩人の天神さんの宝塚舞台化に沸く


おお、学問の神様と称される、菅原道真さまのお話ですか!


菅原道真さんは、讃岐国司(今でいう香川県知事)として活躍していた時期があります。


入社以来東京の本社で出世コースだった人が、急に高松支店長の辞令を受けたようなもので、本人は左遷と思っていたそうですが、当時の人事管理上は栄転扱いだったそうです。


(実際、その後順調に出世していますし)


現地では任務に励み、雨が降らずに困った時は7日7晩雨乞いを続け、ついに大雨が降って、


喜んだ農民たちが滝宮神社(今でも地元では受験生がお参りに行く)の前で、道真に感謝し踊り狂ったそうです。


(今でも、香川県は早い梅雨明けでダムが干上がったニュースを見るたび、


「こうなったら、天神様直伝の雨乞い踊りをするしかないで」


と半ば本気で語り合うのがお約束です。)


紅子:うどん県、千年たっても進化してないのでは・・・




応天の門 1巻 (バンチコミックス)
応天の門 1巻 (バンチコミックス)
新潮社
Digital Ebook Purchas


原作の第1巻を拝読させていただきましたが、貴族社会で藤原氏が権勢を振るう中、


人付き合いが悪くネクラ気味だが、世の中(藤原氏や権力者たち)の不正は許せない!理想に燃える道真君(史実ベースなら18歳くらい)。


天皇の血を引きながら出世コースからは外され、勉強(漢文)は苦手だが、和歌(ポエム)で女性たちをポーっとさせる(たぶんイケメン)の在原業平。道真の20歳上なので、38歳くらい!


青い炎に燃える18歳と、酸いも甘いも知る男盛り38歳、年の差20歳の凸凹コンビが繰り広げる平安朝クライムミステリー。



道真君は漢文のみならず、唐から入って来た化学の書籍も読み漁っており、


「物の怪」や「鬼」の仕業とされた摩訶不思議について、唐渡りの品を扱う勝気な女店主・昭姫(しょうき)らの協力の元、サイエンス的な知見を元に、当時の化学で実現できるトリックを見破る、という設定が興味深いです。


蛇足:タイトル「応天の門」の意味は?


応天門とは、大内裏の内側にあった門で、朝廷内での政務・重要な儀式を行う場であった朝堂院(八省院)の正門。


京都の平安神宮の正門は、応天門の復元です。


有名な「弘法にも筆の誤り」エピソードは、空海(弘法大師)が「応天門」の額を書いた際に、「應」の一画目の点を書き忘れてしまった(まだれをがんだれにしてしまった)が、空海は掲げられた額を降ろさずに、筆を投げつけて書き足したという伝承に由来しています。



道真が20歳の頃に、都の権力争いの中、応天門に放火してライバルに罪をなすり付けようとした貴族が現れるという、大スキャンダルが起きています。




宝塚の劇中では、このあたりのお話がメインになるのでしょうか?