奈良にブラック・ジャックたちがいたのですね
先ほど、安倍元首相の訃報を知りました。
都市部の事情はわからないのですが、地方では選挙は一大イベントでして、
選挙があって大物政治家が応援に来るとなると、会社の社長から「〇〇さんの応援集会に〇人行くように」と指示があり、
社員はあみだくじを引いて動員を決め、会場に行って名簿に会社名と名前を記入し、政治家の話を聞いて帰る、ということがしょっちゅうあります。
安倍氏は首相時代、国政選挙の応援で香川県によくいらっしゃったので、(香川は地方のわりに野党が強い)何度もスピーチを聴く機会がありました。
正直、自分の政治的信条と、安倍氏の政治的信条はあまり重なる部分は無かったのですが、
TVでは聞けない安倍氏のスピーチは、緩急や間のとり方などさすが話し慣れていて、ユーモアやウイットのセンスもあり、下品にならず聴衆をくすくす笑わせて飽きさせない、立派なものでした。
「私が私が」とぐいぐい出る雰囲気でなく、育ちの良さを感じる、真ん中にいると座りの良い、おおらかで鷹揚な、「トップの器」、
歌舞伎とか宝塚でいう「生え抜きの御曹司」とはこんな方のことを言うんだなあ、としみじみ感じたものでした。
今回の件で、ふと思い出してしまいました。
今度月組全ツで再演される『ブラック・ジャック 危険な賭け』は、テロリストに銃撃され命の危機にある某国女王の命を、ブラック・ジャックが英国情報部の依頼で助けるシーンから始まるんですよ。
現実が、フィクションを追い抜いてしまって、
奈良県立医科大学に、ブラック・ジャックたちがいたんだなあ、って。
※手塚治虫氏は、担当教授の紹介で奈良県立医科大学の研究生となり、論文「異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究」で1961年に医学博士を取得したそうです(Wikiより)
本当に、生きていてほしかったです。
とりとめのない思い出語りとなってしまいました。
ご冥福をお祈り申し上げます。