その者、青き衣をまといて金色の野に『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』先行画像
コーカサス山脈の雪のように、輝く白き衣に身を包んだディミトリのマントと、
紺碧の天空のようなサファイア色の衣の姫のボレロとヴェールが、
富士山の尾根のような三角形のラインを構成し、
見るものの視線を、ディミトリの憂いを帯びた、物語の結末を予感させる眼差しに導く。
東方正教会の祈りの空間を彩る、美しき黄金のモザイクのような装身具の宝石は、
神の山とあがめられる霊峰の裾野を彩る、一面のお花畑のよう。
2人の永遠の愛を誓う、ディミトリの指の紅玉と、ルスダンの指の蒼玉から、紫のリラの花が咲く。
完璧じゃないか。
お話の舞台となるジョージア(旧グルジア)は、旧ソ連の国で、キリスト教徒の国ですが、その中でもいわゆる東ローマ帝国の正教会に属します。
美術的には、ビザンツ美術と呼ばれる、黄金の背景と、金銀宝石のモザイクのような装飾に彩られた聖人を描いた「イコン」が有名です。
※ちなみに、アニメで有名な「風の谷のナウシカ」のナウシカの「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし・・・」の青い衣装は、宮崎駿がグルジア(当時)の民族衣装にインスピレーションを得てデザインしたという説があります。
この西洋と東洋の華麗なマリアージュといえるビザンツ様式は、後の時代の芸術家のインスピレーションの源であり続け、
最近では2010年、シャネルのデザイナーのカール・ラガーフェルドが、サーカスの踊り子から東ローマの偉大な皇后となったテオドラをモチーフにしたコレクションを発表しました。
今回カールが思い描いたのは6世紀に活躍したビザンティン帝国のテオドラ(Theodora)皇后。
デザイナーのカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は「彼女はサーカスの踊り子から皇后になった人物なのです」と語る。
その運命は、カフェ・コンセールの歌い手からデザイナーに転身し大成功を収めた創始者ココ・シャネル(Coco Chanel)にも通じる。
Chanel | Pre-Fall 2010/2011 (Paris/Byzance) Full Fashion Show | Exclusive
イスラム出身のディミトリと協力して、国の命運を担う女王ルスダンが、気丈な皇后として夫を支えたテオドラのイメージにも重なります。
うわー、遠征したくなってきた!