劇団よ新規にウケるより既存ファンを見ろよ論に思う
「U25割引チケット」と従来の「学割」の違い
『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』のチケットについて、宝塚友の会「先着順方式」が「既存ファンでもチケットが取れない!」の混乱の後に、しれっと「U25割」が発表され、物議をかもしていますね。
”『HiGH&LOW』というコンテンツにしか興味が無い、宝塚ファンとして定着してくれるかわからない人たちより、既存の宝塚ファンを大事にして!”
気持ちはわかります。わたしも先着順で惨敗しましたし。
これ、対象公演の設定が、8月29日(月)~9月22日の平日の昼間の公演ばかり。
18歳以下の学生さんにとっては、
学校はどうするの?という素朴なギモンが・・・
(最近の小中高は、コロナ禍などの影響で、8月の最終週にはもう授業をしているところが多い)
以前の「学割チケット」は3歳から大学生・専門学校生の方を対象に当日券(A席、B席、立見席)を一律1,500円引きで販売してくれるものでした。
当日券が残っていれば、学生さんに安く売る。
から
25歳以下の若者(実質18歳~25歳をメインターゲット)向けに、事前に席を割り当てておく。
方式に変わったということですね。
注意事項をよく見ると、
”すべて紙チケットでの取り扱い、決済方法はクレジットカードのみの取り扱いとなります。”
※2022年4月から民法の改正により、成年年齢が引き下げられたことで、18歳・19歳の方は親の同意なしでクレジットカードを申し込めるようになりました。
高校生以下の方には、ハードルの高い制度ですね。(その場合、保護者が代理で申し込む形式にするのでしょうか?)
『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』「U25割引きチケット」のターゲットは、夏休みが長い大学生とか、有休が取れる25歳以下の社会人、
実質「18歳~25歳」にターゲットを絞った戦略なのでしょうか?
この戦略の意味は?
「18歳~25歳」に宝塚をPRするためのマーケティング戦略?
営業の世界には、1:5の法則とか5:25の法則と呼ばれる法則があります。
1:5の法則とは、
新規ファンにチケットを売るコストは、既存ファンにチケットを売るのにかかるコストの5倍かかる という法則
5:25の法則とは、
5%の既存ファン流出を防ぐことで、利益率は25%改善される という法則
・既存の宝塚ファンに、同じ公演のチケットを5枚売る。
・これまで宝塚を見たことが無い人に、チケットを1枚売る。
チケットを5枚売るのは、1枚売ることの5倍大変かというと・・・
実際には、これまで宝塚を見たことが無い人に、チケットを1枚売るほうが5倍大変だと言われています。
「既存ファンこそ大切に」「既存ファンが喜ぶ演目を!」と言われます。
でも既存のファンの嗜好に合わせすぎると、同じような演目ばかりになってバリエーションが乏しいし、先細りになりかねない。
だから外部の有名作品とコラボしたりするのでしょうが、
さて、何がウケるのか?
『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』を「映像版では明かされていない、主人公の前日譚が宝塚で見られるらしい」という理由で宝塚版に興味を持った新規ファンに、
「他の宝塚公演も見てみたい」と思ってもらうための、次の一手は?
「U25割引きチケット」作戦の狙いは?個人的な考察
『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』「U25割引きチケット」作戦は、「18歳以下」層と、「18歳~25歳のクレカを持っている大学生もしくは社会人」層にターゲットを絞ってチケットを売り、ウェブ購入の際にアンケートをして、次の若者向け演目を決める際の参考にするのでは?
「HiGH&LOW」という外部を巻き込んでの新規客獲得イベントをしても、しっぱなしでは次に繋がりません。
当日売りでは「あなたはなぜこの公演を見ようと思いましたか?」といういちばん聞きたい情報が取れないですからね。
マーケティングして、25歳以下の若者のリアル、普段、どんな漫画やアニメやドラマを好むのか、価値観や感性をつかめたら、貴重なデータになりますね。