花組大千秋楽に思う
宝塚大劇場では1月10日~17日の公演が中止となってしまった
『うたかたの恋』『ENCHANTEMENT(アンシャントマン) -華麗なる香水(パルファン)-』
無事、大千秋楽を迎えました。
この公演で卒業される、華雅 りりかさん、春矢 祐璃さん、都姫 ここさん、そして花翔 ひかりさんたちが、無事に満場のお客様とライブビューイング、配信の視聴者に見守られてご挨拶できて、本当によかったです。
水美さんは、花組秘伝の調合で、14年熟成された香水にしか醸し出せない、豊穣なフローラルノートを、画面のこちら側にも届けてくださいました。
専科に異動された後、他の組の香りと混ざり合い、新たな香りのハーモニーを奏でくださることが本当に楽しみです。
さて、ショー『ENCHANTEMENT(アンシャントマン) -華麗なる香水(パルファン)-』
『ENCHANTEMENT』とは 、辞書によると
魔法を使うこと、魔法にかかっていること、大喜び、喜悦、うっとりさせるもの
という意味があるそうです。
ショー作家には、自分の感性を磨き、人間の五感の一つである嗅覚を研ぎ澄ませて、ファンに心地よい香りを届けたり、ジェンヌの美味しさを伝えたりできる、調香師的な資質も求められているのでしょう。
前回の星組の、齋藤 吉正先生の個人的な趣味趣向ファンタジーが炸裂した『JAGUAR BEAT-ジャガービート-』と比べてしまうと、
野口先生は、古色蒼然としてきた昭和の「ロマンティックレビュー」を再生させたルネサンス・ロマンティックレビューの衝撃から、新鮮味・新奇性が薄れてきて、old-fashionedになってきたというか、
『置きに来た』なあ、と思いました。
野球で言うと、「勝負を恐れて、ピッチャーが自分で安定していると思うコースに投げる」ような、
お笑いで言えば「スベるのを恐れて、安定した笑いでそこそこウケようとする」ような、迷いを感じました。
表現の方向性って、
ディズニーのような、「多く」の人に「広く」かかる魔法を目指すか、
作家性が強く、特定の好みを持つ人たちに「狭く、深く」刺さる魔法を目指すか、
だいたい2パターンに別れるものだと思います。
野口先生、『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』で、個人的趣向に走り過ぎたかもしれない、やや毒っ気のある表現について物議をかもして、いろいろ注意が入ったのかもしれません。
でも、ディズニーの魔法は、「極個人的な趣味や個性を押さえて、毒の無い、無難な表現をしなきゃ」という姿勢の先に生まれるものでも無い気もします。
薬も過ぎれば毒となるが、毒も少量ならカラダに効く。
毒っ気の無さすぎも、ココロに効かないのよね。
まとめ:野口先生、もうちょっと毒っ気を出してもいいのよ。