『双曲線上のカルテ』中居正広の『白い影』原作が同じなのね
和希 そらさん、主演おめでとうございます!
ミュージカル・プレイ
『双曲線上のカルテ』
~渡辺淳一作「無影燈」より~
監修・脚本/石田 昌也
潤色・演出/樫畑 亜依子
2012年に雪組の早霧せいな主演で上演された『双曲線上のカルテ』は、渡辺淳一の医療小説の傑作「無影燈」を、イタリアに舞台を移しミュージカル化した作品。
一流の腕を持つ外科医でありながら、エリートコースを捨て個人病院で働くフェルナンドは、夜勤中でも酒を飲み、数々の女性と浮名を流す異端児であった。
孤独な影を秘め、常識にとらわれない行動で病院内に多くの敵を作るフェルナンドだったが、彼なりのやり方で真摯に患者と向き合う姿に、看護師のモニカは次第に恋心を抱くようになっていく。
だが、フェルナンドは、ある秘密を抱えていた……。
フェルナンドとモニカの恋愛を軸に、真の医療とは、愛とは、そして命とは……という深遠なテーマを真正面から描き出すヒューマンドラマ。
管理人は、2012年に雪組の早霧せいな主演で上演された『双曲線上のカルテ』はまだ見たことが無いのですが、
このあらすじを読んで、中居正広さんの顔がちらつくのはなぜだろう?
と思って調べてみると、
2001年に中居正広さん主演で、『双曲線上のカルテ』の原作である『無影燈』を元にしたTVドラマシリーズ『白い影』が放送されておりました。
倫子は勤めていた大学病院を辞め、心機一転、東京の行田病院に勤務することになった。
大学病院から優れた医師を招聘している都内でも評判の病院だったので、倫子は好印象を持つ。
院長室に呼ばれた倫子は、院長の行田に「男性問題があったら即刻退職」とくぎを刺されるが、やがて無愛想な外科医・直江にひかれていく。
院長の「男性問題があったら即刻退職」という発言に、現代から見ると時代を感じますね。
昭和の時代の1973年には、田宮二郎が映画「白い巨塔」以来、二度目の外科医役をニヒルに演じ、代表作にもなったそうです。
タイトルの「白い影」とは、田宮二郎が医師を演じる「白い」シリーズという意味と、医者がレントゲンを見ながら「白い影が…」というほうのニュアンスを含んでいるのでしょうね。
第1話のあらすじが紹介されておりました。
オリエンタル病院の看護師・倫子(山本陽子)が、見合いを終えて帰ったとき、当直の医師・直江(田宮二郎)は外出していた。
そんなところへ、酔っ払って額を割ったやくざ・戸田(尾藤イサオ)が、救急車で運び込まれてきた。倫子の知らせで、直江は帰ってきたが、かなり酒気を帯びていた。
直江は興奮してわめく患者をトイレに閉じ込め、心が静まるのを待つように命じた。次に、やくざの仲間たちに入院費の保証金を入れるよう要求する。
手術は腕の立つ直江にかかると、素早く、手際よく進められた。手荒い処置の一方、直江は手術を終えた看護師たちに、寿司を頼んであるからと、さりげなく告げて去る優しさがあった。
「見合い」「酔っ払って額を割ったやくざ」「寿司を頼んであるからと、さりげなく告げて去る」に時代を感じますが、
「当直の医師が外出して、帰ってきたらかなり酒気帯び」
「興奮してわめくやくざをトイレに閉じ込め」
「やくざの仲間たちに入院費の保証金を入れるよう要求」
「酒気帯びの医師が素早く、手際よく手術」
・・・どっちがやくざだ。
昭和の時代って、ワイルドですね。
そんな昭和のやくざな医師のお話を、イタリアに舞台を移して、やくざをマフィアと呼び変えたら、ミュージカル・プレイ『双曲線上のカルテ』ですよ。
”双曲線”とは、”二つの定点からの距離の差が一定である点の軌跡”のことで、
”双曲線”には、”漸近線”という、”十分遠くで曲線との距離が 0 に近づき、かつ曲線と接しない直線”が存在しているそうです。
数学の用語なのに、どれだけ近くにいても交わらない、人と人の心の間にある距離感を表現しているような言葉ですね。
『双曲線上のカルテ』
というタイトルを思いついた石田 昌也先生って、なかなか洒落た方に思えてきました。