宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

『カジノ・ロワイヤル』新人公演感想




『カジノ・ロワイヤル』新人公演を視聴しました。


感想:『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』脚本は、100分にカットしても、まだダレる。


しみじみ、本公演は、脚本のユルさを「真風 涼帆の男役芸」「潤花の華」等、「ジェンヌの芸を、たっぷりじっくり堪能する」ことで持っているんだなあと思いました。


新人公演は勉強公演ですので、まだ芸が未熟なのは当然のこと。


主要な出演者の芸が発展途上ゆえに、見えてくるものがありました。


本公演では、真風ボンドが男役として悠然とカッコよすぎて、


「ボンドは何がしたいのか」


「ボンドを内側から突き動かす衝動は何なのか?」


がよくわからない。


真風涼帆のカッコよさを際立たせるための道具立てとして、「スパイ」という属性がある。


大路 りせ演じるジェームズ・ボンドは、男役芸はまだ発展途上で、「ジャマイカの大金持ち」的な余裕しゃくしゃく感は希薄ですが、


イギリスが誇る秘密情報部「MI6」職員って、つまりは「公務員スパイ」なんだなあ、


という納得感がありました。


ボンドのデルフィーヌへの接触は、恋心というより、まずは「イギリスの国益のため、KGBと敵対関係にあるロマノフの末裔たちとのルートを作っておこう」という、女王陛下の007としての使命感からはじまり、


「黒海にイルカクルーズに行かない?」はちと公私混同気味ですが、


ラスト、次のイスタンブールでの勤務に向かう頃には、もう完全に「殺しのライセンスを持った公務員」に戻っていますね。




デルフィーヌを演じた美星 帆那は、「ソルボンヌ大学の院生」「発展途上国の子供の教育のために尽力する」設定に無理が無いですね。


潤 花デルフィーヌは華がありすぎて、


SDGSの目標 4 :すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する


を「ファッション」として語っている感を、すこーし感じました。



主演コンビが「公務員」「ソルボンヌ大学院生」という、宝塚キラキラ属性とはちょっと毛色が違うキャラがハマる個性だったゆえか、


ル・シッフルを演じた亜音 有星の、「何を考えているのかよくわからないが、とにかくキラキラしてる!」個性が輝いていましたねえ。