つまり、みんなスパイ!フリューゲル人物相関図
肩書はいろいろですが、登場人物の過半数は「スパイ(諜報員)」でしょうね。
本職のスパイに「ジェームズ・ボンド」みたいな目立ちすぎる奴は向いていませんから。
主人公ヨナス・ハインリッヒの人生を戦後ドイツ史に当てはめてみました。
1945年 ドイツ敗戦。
西ドイツをフランス・アメリカ・イギリスで管理、
東ドイツをソ連が管理することとなる。
(ベルリンは4か国で共同管理)
1948年 東西対立が激化し、ソ連が西ベルリンを封鎖。
1949年 ドイツ、東西に分裂。
269万人が東から西に亡命。
1955年 ヨナス、西ベルリンにて生まれる。
1961年 ヨナス6歳 元ナチスの母が逮捕される。東ベルリンの叔父さんの家で育つ?
同年 東から西へ亡命を阻止するため、総延長155㌔に及ぶ「ベルリンの壁」が作られる。
1970年代前半 ヨナスは大学でヘルムート(鳳月)と出会う?
1979年 ソ連がアフガニスタンに侵攻(米ソ関係は悪化し、戦争は泥沼化。ソ連の衰退の原因となる)
1988年 ヨナス33歳 東ドイツ国家人民軍の広報担当。西ドイツのポップスター・ナディア(海乃)の身辺警護を任される。
1989年 ベルリンの壁崩壊
1990年 ドイツ統一
この時代のベルリンでは、誰もが宝塚歌劇の主役になれるほどに、波乱万丈な人生を送っていたのでしょうね。
ヨナスの母が、ドイツ連邦刑事局に逮捕される...
女性がナチス親衛隊で活動していたとなると、アンネ・フランクのように隠れ住んでいるユダヤ人を探し出す、スパイ的な活動をしていたか、
ユダヤ人強制収容所で勤務していたか。
2022年になっても、ドイツではナチスに関わった人物への法的責任が問われ続けています。
当時強制収容所でタイピストとして働いていた女性ですら「収容所で何が起きているかは十分に認識しながら、事務所に座って、1万人以上の死亡証明書をタイプし、印を押し続けた」罪を問われました。
ちなみに、ヘルムート(鳳月)が勤務する旧東ドイツの情報機関「国家保安省」(通称・シュタージ)は、人権抑圧の象徴として、国民に最も嫌われ恐れられておりました。
なにせ、当時のシュタージには、あのプーチン氏も情報収集の為出入りしていたのです。
1989年末時点で,正式職員は約 10万人,非公然職員 10万 900人のほか身分不詳の職員による特別部門もあり、悪名高いナチスの保安警察の倍以上の規模で、600万件もの個人データを収集していました。
収集した個人データファイルをすべてつなぎ合わせると、180キロの長さに及ぶそうです。
インターネットの普及していない時代に、どうやってそれだけの国民を監視できたかというと、
「国民総スパイ作戦」
国民6.5人に1人がシュタージの「陰の協力者」となり、隣人を監視し、密告する側に立つという恐るべき体制を、「ベルリンの壁崩壊」まで維持していたのです。
こんな社会体制でも、市民たちはしょーもない口喧嘩やギャグを言って、憂さを晴らす日もあったでしょう。
どうか、ドイツの方にお見せしても「コミカルでハートウォーミングなミュージカル作品」と評される作品に仕上げてくださいね!個人的には、今年1番の注目作なのです。