宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

あなたはアントワネットを誤解している



もしも1789年のヴェルサイユにマリー・アントワネットがいなかったら、世界はどうなっていただろう?


マリーが母マリア・テレジアのように聡明で思慮深く、税金を納める国民の生活への関心を忘れずに生きていたら?


少なくとも池田理代子は「ベルサイユのばら」を描かなかったし、宝塚歌劇団はSKDのように昭和の時代に消滅して、「宝塚」という固有名詞は関西の平凡なベッドタウンの地名にすぎなかったでしょう。


マリーは、国を傾け、国民中から罵られ、やがて革命までも呼び起こすほど「スケールの大きな悪女」としての素質は無かった。


お勉強と退屈が大嫌い、おしゃれ大好きな、現代に生まれていたら京葉線に乗ってディズニーリゾートに通っていそうな平凡な娘。


平凡な小国の王と結婚する人生を歩めば、幸せに生きられたはずだった。


不幸のうちに初めてマリーは、自分が何者であるかを本当に知り、絶対王政の死という人類史上の一大事件のヒロインにふさわしい、スケールの大きな悲劇の幕切れを迎える。


でも、彼女の一番の悲劇は、死んで250年近く経っても、



Q:フランス革命はなぜ起こったのでしょうか?


A:マリー・アントワネットが贅沢し過ぎたせいで国家財政が悪化して、


マリーが「パンが無ければお菓子を食べたらよいのに」


と言うので、国民が怒ってバスティーユに押しかけたから。



という風評被害を受け続けていることかもしれません。



まあ、マリーが贅沢したのは事実ですが、フランス1国を1代で傾けるような贅沢をしたわけでは全くありません。



国家の財政悪化の理由は、ルイ16世のご先祖たちにあります。



「朕は国家なり」太陽王:ルイ14世


・ヴェルサイユ宮殿の建設(完成までに約40年かかった)


・スペインと戦争(南ネーデルランド継承戦争)


・オランダと戦争(オランダ侵略戦争)


・ドイツ諸侯たちと戦争(ファルツ継承戦争)


・オーストリアと戦争(スペイン継承戦争)


ほぼ、よその国の相続争いに首をつっこみ続けた生涯を送り、


「領土の拡大は最も気持ちの良い仕事である」




多くの愛人を持ち私生活は奔放だった最愛王:ルイ15世


・オーストリアと戦争(オーストリア継承戦争)


・プロイセンと戦争(七年戦争)


「朕の後には大洪水がくるであろう(あとは野となれ山となれ)」




そしてルイ16世


対外戦争費による負債の結果を受け継いだため、即位直後から慢性的な財政難に悩まされ続けます。


それにも関わらず、積年の敵性国だったイギリスの勢力拡大に対抗してアメリカ独立戦争に関わり、


敵の敵は味方、とばかりにアメリカを支援したので、さらに財政難に。




農民には重税、なのに金持ちの特権階級は「税金は払わなくてOK」



徹底討論会「誰が税金を払うのか」



第三身分:特権階級は税金を払わなくてOKっておかしいだろ。税金を払えよ。



特権階級:税金を払うのは、い・や・だ。


・・・マリーがいなくても、革命は必然な気がしてきた・・・


軍艦、大砲、兵士の給料、戦争にかかる費用に比べたら、マリーのドレス代などどれほどのものか。


マリー、天国で安らかに。