ロミジュリで一番悲惨なのは実はパリス伯爵というオチ
「ロミオとジュリエット」は公演が再開され、無事劇場で観劇できた方もたくさんいらしゃると思います。
管理人はライビュ専科で、「カメラに映っていないところは見られない」し、生で舞台を見る時に比べて「カメラワークによって芝居の印象が変わる」ことも当然ある。
映画やTVドラマでは、監督は芝居をどういう映し方で伝えるかの演出が腕の見せ所ですが、後日販売される円盤やスカステでは、たぶん演出の先生も編集をチェックしていると思うのですが、生配信だとそこまでできないですからね。
生で舞台を鑑賞していらっしゃる方もたくさんいる中で、ライビュで見ただけで感想を書くというのは、
釈迦に説法、孔子に論語、キリストに説教
ということは痛感しているのですが、
個人的には、
「宝塚で今、「ロミオとジュリエット」の一つの決定版を世に出した意義」として好みなのはA日程、
「400年以上演じ続けられた古典を、今演じる意義」として新しい視点を提示したのはB日程、
という印象です。
そもそも、宝塚版「ロミオとジュリエット」自体、シェイクスピアの原作とはずいぶん違うのです。
宝塚版「ロミオとジュリエット」原作との違い
宝塚版「ロミオとジュリエット」で、初めてシェイクスピア劇を生で見た、という方もいるかもしれませんね。
実は原作では、
・キャピュレット家は別に借金まみれではない
・キャピュレット夫妻の仲は別に険悪でもない
・キャピュレット婦人とティボルトは別に怪しくない
・ティボルトはジュリエットと仲良しだけど、惚れているわけではない
・ロミオは仮面舞踏会の前に、ロザラインという娘に手ひどくフラれてすごく落ち込んでいて、気分転換に仮面舞踏会に潜入する
・ロミオとジュリエットの結婚は外部にバレておらず極秘のまま
⇒ティボルトとマキューシオの喧嘩も、ロミオとジュリエットの結婚は関係なく、いつものいざこざがエスカレートし過ぎただけ
・ジュリエットの死をロミオに、どうやって伝えよう♪
⇒ロミオの死をジュリエットに伝えたのはベンヴォーリオではない(バルサザーというロミオの従者が伝えた)
話の根幹に関わる部分が原作と変わっている。
これがフランス版の脚色の踏襲なのか、小池修一郎先生のオリジナルアレンジなのかは存じ上げていないのですが、
しまいには
・パリス伯爵、最後には、死んでしまったジュリエットに花を手向けようと墓参りに来たところ、ロミオと鉢合わせし、決闘で殺される。
・・・
ティボルトとマキューシオは、お互い挑発しあっての喧嘩沙汰だし、ロミオのティボルト殺害は下手すりゃ死刑の重罪。
まあ、自分にも責任はある。
ロレンス神父も、実は薬草オタクで、ジュリエットにあんな薬を飲ませたのも「自分が開発した薬の効き目を人体実験したい」という下心があった。
パリス、何か悪いことしたか?
ジュリエットにプロポーズしたのがすべての元凶だ!と言われても・・・
※外部でも、さすがにあんまりだとみんな思っているのか、パリス殺害のくだりはカットして上演することが多いそうです。