宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

フライングサパーの音楽 命の気配の無い海のようだ

※これは暇なのでスカステニュース「FLYING SAPA 製作発表会」を見て意識を水星に飛ばした女の妄想です。

先日FLYING SAPAのあらすじを予想しようとする無謀すぎる試みを企てましたが



案の定はずれのようです。





体温の感じられない音楽


宙組公演『FLYING SAPA -フライング サパ-』制作発表会パフォーマンス(ノーカット)



記憶を失っている兵士、あたまの病気、娼婦の真似事、娼婦の出産  密売の「へその緒」を新生児に埋め込む仕事

・・・うん、さすがウエクミ先生、わからなすぎてすごい。


ミレナ(星風)の目・・・どこを見てるの?自我が吹っ飛んでないか?


そしてこの三宅純氏の、不穏な海のうねりのような音楽・・・


いにしえの、はるか彼方の、異国の邪教の儀式のように響き続けるリズム。
祈り?呪詛?


でも不思議。この響きにはニンゲンの血潮が、有機物の気配が感じられない。


ロウソクではなくて、無機物が燃える青白い炎の色のような
祈祷の護摩のけしの種ではなく、ゴムの焼ける匂いのような


命の気配のしない光景

そもそも彼らはなぜ水星に移住したのでしょう。


そのころ地球はどのようになっているのでしょうね。


三宅純氏の音楽を聴いて思い出した詩

『明日』 小野 十三郎  


古い葦は枯れ 新しい芽もわずか。

イソシギは雲のように河口の空に群飛し

風は洲に荒れて 春のうしおは濁っている


枯れみだれた葦の中で はるかに重工業原をわたる風をきく

おそらく何かがまちがっているのだろう

すでにそれは想像を絶する

眼に映るはいたるところ風景のものすごく荒廃したさまだ。


光なく 音響なく 地平をかざる 強烈な陰影。


鉄やニッケル。ゴム・硫酸・窒素・マグネシウム


それらだ。

戦前(昭和14年)の作ですが、その後の戦争、公害列島、原発事故を予言するかのような、オバク(真風)達が見捨てた地球の風景のような、生命の気配のしない光景。


命を孕まない豊饒の海

三島由紀夫氏の遺作「豊饒の海」のタイトルは、水の無い月にある、玄武岩で覆われた黒い平原の名に由来します。その第一部が明日海さんが演じた「春の雪」。


ヒロイン聡子の宿した子は、誕生を望まれない存在でした。


ノア(芹香)が取りあげる新生児は、誕生の時「おめでとう」と言われるのだろうか。


今の地球の海は鯛やひらめが舞い踊っているけれど、オバク達の時代、水星に海があるとしても、それは生命を孕まない不毛の海でしょう。


そこで生まれる子供たちに、密売の「へその緒」を埋め込むノア・・・


あー見たいー