宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

読まずにわかるロミジュリバレエ おまえら、落ち着け!

新国立劇場による読まずにわかるバレエ「ロミオとジュリエット」



※無料配信は終了しています


ロミオとジュリエットの出会いから死まで

シェイクスピアの作品のほぼすべてには、元ネタとなる小説や伝説があります。


イタリア・ヴェローナには敵対する2つの家の男女が出会って、心中したという伝説があって、モデルとなった「ジュリエットの家」は観光名所となっております。


その伝承では、2人が出会ってから死ぬまでは9か月くらいあったそうで、ジュリエットが人妻となってからまた出会って、とごちゃごちゃして、最後心中したそうですが。


シェイクスピア版ではロミオとジュリエットが出会って死ぬまで、


4日!


展開早!


この「展開の速さ」が、シェイクスピアの劇作の天才なんでしょうな。


セリフが無いのに、このバレエはシェイクスピアだ

原作ではロミオは17歳、ジュリエット13歳!


若い!


「ロミオとジュリエット」のテーマは、恋と、「若さゆえの疾走」


舞台では

あの女は松明を一層明るく燃え上がらせる。


君の美しさを夏の一日に例えようか

君は更に美しくて、更に優しい

               訳 吉田健一

的なポエムなセリフを超早口で応酬するイメージがありますが。まあ、そのとおりですが。


なにせ2人は若い。


疾走する肉体の「情熱(パトス)」に考え「論理(ロゴス)」が追い付いていない。


で、このバレエですよ。


文学作品をバレエにするって難しくて、原作の言葉で表現される世界に、肉体だけでは言葉不足だよね、と思うことも多いですが。


ケネス・マクミラン氏による振付、巨匠プロコイエフによる音楽。


なんと雄弁なんだろう。


疾走する肉体と音楽が、この作品に限っては、セリフ劇によるシェイクスピアより、シェイクスピアが若い2人の伝説に込めた思いを解き明かしているかもしれない。