ピガール感想①ガブリエル、ラストそれでいいの?
もう旧聞に属しますが、「ピガール狂騒曲」の、宝塚大劇場の楽をライビュで拝見いたしました。
その後いろいろ発表があって、お芝居の感想をUPしそこねておりましたが、せっかくですので徒然なる雑感をば。
ジャック役は珠城りょうのハマり役だと思う
あのガタイのいい珠城さんが、「男装の麗人」ってどうなるのかな?とワクテカ半分、ちょっぴり怖いもの見たさ半分(笑)でしたが、ジャック(ジャンヌ)役がまさかのハマリ役とは!
普段威風堂々としている珠城さんが、流され、巻き込まれタイプヒロインで
「好きな人に好かれず、苦手なタイプに好かれ、あーもう!うまいこといかない!」
と、ぷんすかしているのがこんなに可愛いなんて💛ギャップ萌え(笑)
「十二夜」ってどういう意味
原作はのどかな地中海の架空の小国を舞台にした、「仕事は恋愛ポエムを詠むこと」な、平安貴族みたいな登場人物たちが、のんきな恋のさや当てをする話です。
で、「十二夜」というタイトルの意味は?
「十二夜」とはクリスマスから数えて12日目の1月6日ことで、クリスマス休暇の最終日、今日は羽目を外して騒いでOK、みたいなノリの祝祭日だったそうです。
ピガール狂騒曲のラストにも幾分感じる、日曜日の夕方に「サザエさん」のテーマソングが聴こえてきた時のような、あるいは1月3日に箱根駅伝の復路を見ているときのような感覚は、その名残かしら?
このお芝居の主題は?
今回の原田先生の脚本は完全オリジナルではなく、シェイクスピアの「十二夜」を基にしており、400年以上前に書かれた原作を、現代に近い20世紀初頭に舞台設定を移しての上演です。
観客としては、現代に時代が近づくにつれて、どうしても細かなリアリティが気になってきますよねえ。
昔は
「私、実は女でした!」
「なーんだ、これで万事解決、めでたしめでたし」
でよかったのでしょうが、今の観客から見たら
ガブリエル、結局、顔が同じならいいの?
と思うよねえ・・・
宝塚って、一夜のお楽しみ、存分のお楽しみ、笑って泣いて、あー楽しかった
それでいいんだけど。
ライビュから1か月もたって、まだ心に何かを突き付けられているものがあって、それが何かがわからなくてモヤモヤして。
最近、某CMを見て思いついた。
クラフトボス『宇宙人ジョーンズ・銭湯』篇 30秒A 役所広司 堺雅人 ゆりやんレトリィバァ トミー・リー・ジョーンズ サントリー CM
探し物は何ですか♪見つけにくいものですか♪
原作であるシェイクスピアの「十二夜」には『御意のままに(What You Will)』という副題がついている。
Youは劇場に現実の憂さ忘れに、一夜の夢を求めて来るお客さまのことでしょう。お客様のお望みのもの、ぜんぶ叶えてあげましょう、という意味ですね。
書きながら、奇しくも植えじいが併演のショーで
「あなたの夢はなんですか みんなあなたに叶えましょ♪」
と「十二夜」の副題を歌っているのに気づいて、そっちのほうに驚愕してきた💦
女が男になり、女が男から離れ、
本当の自分を偽って、本当の自分を探して、本当の自分から遠ざかって、
ジャックの夢は何ですか?ガブリエルの夢は何ですか?
そういえば、私の夢ってなんだろう。自分は本当は何を求めて、望んでいるんだろう?
探し物は何ですか? 見つけにくいものですか?
探し物はなんですか? まだまだ探す気ですか?
それより僕と踊りませんか?
夢の中へ夢の中へ 行ってみたいと思いませんか?
探すのをやめた時 見つかることもよくある話で。
井上陽水はシェイクスピアが2時間かけて語ろうとしたことを、2分41秒で歌い当てているのか?