エル・アルコン なんでティリアンあの女王に負けたの?
今回は、なぜティリアンがいるスペイン無敵艦隊が、あの女王に負けちゃったのかについて、です。
当時はスペインの方が先進国だった
イギリス側の君主は、有名なエリザべス1世(イギリス国教会)。バチカンから暗殺命令をくらった「カトリックの敵」
スペイン王フェリペ2世(カトリック)は、エリザベス1世を幽閉したにっくき姉、メアリーの元夫。われらはカトリックを守護するのだ!
因縁の2人であります。
↑女王の複雑すぎる家庭環境はこちら
これを見ればわかる!「KING&QUEEN展」#5【処女王 エリザベス1世】
1588年に描かれた絵ですが、一国の女王様の肖像画だというのに、作者クレジットが「Unknown English artist」=画家不詳
ダ・ヴィンチがモナリザを描いたのは1506年ごろと思うと、イギリスの絵画芸術の後進性がなあ・・・
この肖像画の後ろに描かれているのが、アルマダの海戦で英国大勝利!の場面。
このメイクと衣装を実際に再現すると
シアーシャ・ローナン×マーゴット・ロビー!『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』予告編
こうなる。
エリザベス1世さん、天然痘の跡を気にして、すさまじい厚塗りメイク(笑うとメイクがひび割れるから、常に能面フェイス)
エリザベス1世、海賊を雇う
そしてアルマダの海戦での、イギリス軍の実質的な司令官は、フランシス・ドレーク
サー・フランシス・ドレーク(Sir Francis Drake、 1543年頃 - 1596年1月28日)は、エリザベス朝のイングランドのゲール系ウェールズ人航海者、海賊(私掠船船長)、海軍提督。イングランド人として初めて世界一周を達成[1]。
なんで海賊が海軍提督になってるんだよ。
当時のスペインは、大航海時代の先駆者、七つの海は、まさにブルーオーシャン!貿易による富を真っ先に独占し、膨大な富を得ていました。日本にも南蛮人が来ていましたね。
対するイギリスは、まだまだ辺境の島国、これから七つの海に出て行こうとしても、そこはとっくにスペインやポルトガル支配下のレッドオーシャン。つけ入るスキがない・・・
エリザベス1世:「真っ向勝負できないなら、横取りしちゃいなさーい!
イギリスの海賊さーん スペインの船を襲ってOKよ!利益は王室と山分けね!」
ドレークさん、頑張りました。
イングランドの国家予算を超える財宝をスペインから分捕ってきました。ビンボーな英国王室、一気に借金返済!
エリザベス1世:よくやりました!あなたに海軍提督とサーの称号を
フェリペ2世:ええかげんにせえよ(怒)!ドレークを引き渡せ!
エリザべス1世:ドレーク?誰?知らなーい
⇒戦争じゃあ!
キャプテン・ドレーク 海賊上がりのなんでもあり戦法
1 敵を攻めるにはまず兵糧から。
スペイン軍の荷積みを邪魔。飲食物を入れる樽を奪う!
→スペインはやむなく生乾きの樽を使い、これが後でエライことに・・・
2 敵の懐に入らない
スペイン:大砲は威力は強いが短射程。自軍の艦船から敵の艦船に横付けし、戦闘員を乗り移らせて攻撃する作戦
イングランド:相手の懐に入るな!軽量弾(連射しやすい)を放つ長射程の大砲で長距離戦法だ!
戦況は一進一退、こうなったら・・・
3 赤壁作戦
密集しているスペイン艦隊の真ん中に、火のついた船を流す!
ぎゃあああああ 逃げろお
どっちかといいますと、スペインは戦闘中より、逃げるときのほうが犠牲が大きかった。
4 イングランドにも神風が吹いた
イングランド
戦死50–100人
戦傷400人
火船8隻焼失
戦病死:数千人
無敵艦隊
戦死600人以上
戦傷800人
捕虜397人
喪失9 - 11隻
遭難と戦病死:
難破・行方不明54隻
死者20,000人
命からがら逃げる途中、嵐で難破、慣れない海域で座礁、ドレークさんに積み荷を襲われてやむなく生渇きの樽を使ったせいで、食料がカビて、飢餓&病気で亡くなる兵多数・・・
フェリペ2世:「私は艦隊を人間に対して送ったのであり、神の風や波浪に対してではない・・・」
イギリスでは偉大な女王枠ですが、カトリック諸国の評価はまた別のようです。
権力のある女性が嫉妬深く、憎まれ役になる設定は、人気オペラ「アイーダ」のアムネリスにも共通する、19世紀イタリア・オペラの一つのパターンだった。
宗教的な背景もある。エリザベスは父ヘンリー8世が始めたプロテスタントの一派であるイギリス国教会を保護したが、イタリアはカトリックの総本山。エリザベスに処刑されたメアリーはカトリックの女王だった。イタリア人が共感するのも道理なのだ。
どんな有名人も、時代や国によって評価は変わる。イギリス人が誇る大いなる処女王も、国や時代が違えば悪役に回る。オペラのエリザベスもまた、そのことを教えてくれるのである。