宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

考察「シン・エヴァンゲリオン」は進化論に喧嘩を売る話だった


※この記事は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のネタバレを含んでいます。




やっと『劇場版シン・エヴァンゲリオン』を拝見しました。


普段のライビュでは、ヅカオタ女性ファンたちと一緒なのですが、今回の客席は…40歳以上の男性ばっかり!普段の客席の空気と違ってちょっとドギマギしました(笑い)


そして去年公演されたウエクミのSAPAと『シン・エヴァンゲリオン』とが、まさかのシンクロ率でものすごくびっくりしました。


全てに決着をつけるため さらば、すべてのエヴァンゲリオン



『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『Q :3.333』版予告・改2【公式】



『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告・改2【公式】



追告 B『シン・エヴァンゲリオン劇場版』絶賛公開中


人の本質とは何か? 人は何のために生きるのか? エヴァのテーマは、いつの時代にも通じる普遍的な核を持っている。


シンジ、レイ、アスカ、マリ、個性にあふれたキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する。



ついに明かされる『人類補完計画』


『人類補完計画』を説明する、というのも難しいのですけれど、


超意訳すると、マッドサイエンティストの奥さんが死ぬんですよ。彼はひたすら亡き妻にもう一度会いたいと願い、息子のことも拒絶して生きているんですよ。


マッドサイエンティストは思う。


そもそも、ヒトはなぜ、死ななければならないのか?


原始の生命は、アメーバのような単体生物だった。アメーバみたいに分裂して増え続ければ、理論上は死なない。


なんで生命は多細胞生物となり、オスとメスに分かれ、子孫を残して親は死に、「人は愛を紡ぎながら歴史を作る」というめんどくさく、死すべき定めという残酷なテーゼに支配されているのか?


💡思いついた!


進化の過程で際限なく分裂した生命を、「最後のシ(死)者」を生贄に、進化の針を巻き戻し、原初の大いなる一つの生命に収れんすれば、


もう、ヒトは死なない。



・・・めっちゃ、SAPAの「ミンナ計画」っぽくありません?



生物の成り立ちは「変化と選択」による進化の賜物であるとお話ししてきました。性に関しては、卵・精子・胞子などの配偶子の形成および接合や受精が「変化」を生み出します


一方「選択」は、もちろん有性生殖の結果生み出される多様な子孫に対して起こりますが、実は子孫だけではなく、その選択される対象に、それらを生み出した「親」も含まれているのです。つまり親は、死ぬという選択によってより一族の変化を加速するというわけです。


当然ですが、子供のほうが親よりも多様性に満ちており、生物界においてはより価値がある、つまり生き残る可能性が高い「優秀な」存在なのです。言い換えれば、親は死んで子供が生き残ったほうが、種を維持する戦略として正しく、生物はそのような多様性重視のコンセプトで生き抜いてきたのです。

使徒は、もう一度地球の歴史の巻き戻しが行われたら、あったかもしれない生命の可能性?


「エヴァンゲリオン」のTV放送は1995年ですが、個人的にエヴァの元ネタの一つに、日本では1993年に発売され、相当話題になった「ワンダフル・ライフ」という、生物の進化についての書籍が関係しているのでは?と思っておりまして、


ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)
ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)
早川書房

「エヴァンゲリオン」シリーズには、使徒という、人間を始め脊椎動物には似ても似つかない、生命の「種」としては相当心理的距離感がある、巨大な昆虫?ウイルス?のようなデザインの敵が出てきくるんですけれど、


この本で紹介され一躍有名になった「アノマロカリス」めっちゃ「使徒」っぽい。



アノマロカリス

1909年、カナダで5億年前の不思議な化石小動物群が発見された。当初、節足動物と思われたその奇妙奇天烈、妙ちくりんな生きものたちはしかし、既存の分類体系のどこにも収まらず、しかもわれわれが抱く生物進化観に全面的な見直しを迫るものだった…


100点以上の珍しい図版を駆使して化石発見と解釈にまつわる緊迫のドラマを再現し、歴史の偶発性と生命の素晴らしさを謳いあげる、進化生物学の旗手グールドの代表作。


カンブリア紀には現生の動物門のすべてが出現していた可能性があること、そしてそれに含まれないものも多数あったこと、したがって、動物の体制の多様性はカンブリア紀が一番高かったのだ、と述べている。


もう一つ、子孫を残さなかったものが、環境に適応していなかった劣った系統とは考えられず、それはおそらく単なる偶然の産物だという。


たとえばもう一度地球の歴史の巻き戻しが行われたら、我々は生まれなかったかも知れない、とも言っている。

ワンダフルライフ (書籍) - Wikipedia


そして、マッドサイエンティストと化した父親との決着をつける為、息子は亡き母のクローンである、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗するのである。


母イオカステと交わり、父を殺したオイディプスのように。



そして、少年は神話にならずに大人になり、イスカリオテのマリアと旅立つ。



【公式】新世紀エヴァンゲリオン 第壱話「使徒、襲来」


SAPAかよ。






手に持つロンギヌスの槍は、主人公たちが搭乗する始祖鳥(恐竜から鳥への進化の過程)のような形態の戦艦の「脊椎」なのも、無脊椎動物から脊椎動物への進化の寓意として意味深な気がする。