配信って意外と儲らないけれど「場」を守るためにやってる
新国立劇場バレエ団(東京・初台)は5月公演「コッペリア」について、全4キャストの舞台を無料でライブ配信すると発表した。緊急事態宣言を受けて中止された5月1~8日の5回の公演のうち、4回を無観客で行い、主演4組が全て本番を迎える。
同団は今年1月にも中止となった公演を無料で配信し、大きな反響を起こした。「経営を応援したいので有料にしてほしい」というファンの声も根強いが、準備期間が短いことから今回も無料と決まった。3000円からのインターネット寄付などを受け付けている。
無料配信を4回!主演4組がすべて本番を迎えられるのですね。
GWにステイホームの国民に、良質な文化を提供するのも、国の税金の使い方として意味があると思います。
今回は梅田芸術劇場の対応力が凄すぎた
宝塚も梅田芸術劇場も大変なことですが、去年から生舞台+ライビュ&配信を定例化し、客も半年以上かけて、配信をお金を払って見るということを、ファン生活の一部として習慣化してきた。
(急に予定が空いて暇だなあ。そういえば今日は○○公演の配信日だったな。ぽち。)
だからこそ、ファンも今回の件にどうにか気持ちを納得&対応できますが、ヅカファンの常識はまだ舞台ファンの常識ではないかもしれない。
劇団四季さんも、歌舞伎さんも、いまだ無観客公演配信のお知らせは無し。そもそも急に無観客公演の有料配信を手配したとしても、ファンたちは普段ヅカファンのような、配信視聴が習慣化した生活をしていないのではなかろうか。
加えて劇団四季さんは、版権でガチガチのブロードウェイミュージカルが主流。(最近発表された宝塚の演目が、小説原作の芝居とショーの2本立てばかりなのも、お高いBW版権ものを買って休演するリスクに備えてでしょう)
歌舞伎は、松竹は撮影ノウハウは豊富でしょうが、
高齢の贔屓筋に「有料配信をするから見てください。配信プラットフォームが、URLが・・・」
・・・ヅカファンだって、楽天TVに登録してポチるのに慣れるまで数か月はかかったぞ。
国立の劇場ですら、準備期間の短さから無料配信にせざるを得なかったとなると、民間べースの興行で、無観客公演の有料配信で対応できるところはどれだけあるのか。
配信事業もそれ単独では利益が出ないが、「場を守る」ために続けている
「1人1枚」の原則が崩れた配信ライブ配信費とコロナ対策費が追い打ち
緒方 加えて、配信するための費用が必要になります。
仮にキャパ700の会場だとカメラを4台は入れたいところです。とはいえ、4カメ用のユニットを入れると70~80万円はかかるんですよね。配信費用として70~80万余計にかかるのに、お客さんは700ちょいのキャパに200人しか入れられない。
―― そして配信費用を賄えるだけのチケット代は見込めないと。
緒方 はい。だから私の12月のライブは、どう試算しても赤字が200万出てしまうのは確定しているんです。
これが、普段からドームや武道館のような大きな会場でやっている方たちだと売れるチケットの数が多いので、まだなんとか成立できるのですが、私たちのようなキャパ2000人以下の規模でやっているアーティストだと、採算を取るのは本当に難しい
加えて、物販のTシャツやタオルも、現地でなら会場の熱気でつい記念に買ってしまうけれど、自宅で配信だと、通販してまではなかなか買ってくれない。
それでも、
緒方 でも、だからといって、ライブという現場を切り捨ててしまうのではなく継続――つないでいくことが大事だと思っています。
配信も含めた「ライブ」は誰でもできるわけじゃありません。だから、できる人がやるしかない。とにかくいまは、音楽ができる場所を守る。配信も含めてやり方をつないでいく。続けていれば、後に続く人が出てくれたり、お客さんにも伝わっていく。そう信じて、やれる限りはやっていきたい。
―― このコロナ禍で活動を続ける最終的な理由は、「場を守る」というところに行き着くわけですね。
地方ファンも、ライビュ&配信を見ることで、宝塚大劇場&東京宝塚劇場という場を守ることができるんですね。