宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

「ほんものの魔法」とは結局何だったのだろう?




管理人は、子供の頃、国語が苦手でした(全体にお勉強は苦手だったけれど)。


算数(後の数学)のように大の苦手で赤点まみれ、というほどひどくもなかったのですが、「作品そのもの」に沿ってきちんと読解せずに、自分の経験や価値観に照らして「自分はこう思う」ばっかり書くので、


先生に「聞かれているのは作者がどう表現しているかで、あなたがどう思うかではありません」「あなたが書いているのは、感想文でなく妄想文」などと注意されていた記憶があります。


大人になって宝塚ブログを書くようになっても、他の皆さんは舞台の細部まで詳細に、下級生の演技にまで目を配った劇評を書かれているのに、自分は全然目が足りていない・・・


「これは、自分が生の舞台を観劇していないからだ」と思っていたのですが、


先日「夢千鳥」のディレイ配信があり、バウホールで数日公演したのみで休演となり、他のブロガーさんもほとんど生の舞台は見られず、同じ時間に同じ映像を1回だけ見るという同一条件で、ブログ村の上から下まで一気に「夢千鳥」の感想記事がジャックする、という珍しい事態となり、


皆様の個性が出て興味深かった&自分はやっぱり細かいところまで目が届いていないと実感💦


自分は「舞台そのもの」をちゃんと見ていなくて、「舞台感想にかこつけた自分語り」に過ぎない、と反省しました。






と長い前置きとなりましたが、今回の記事も


「結局、「ほんものの魔法」とは何だったのか?」についての自分語りです。



ほうきに乗っても空を飛べないニセモノの魔法使いが、ほんものの魔法使いでも行けない月に行ったってさ

私は舞台を見る集中力がありません。


おうちで配信どころか、ライビュ会場で見ていても、観劇の途中で急に懐メロとか、昔読んだ本の一節が頭に鳴り響いて困るのです。みなさん、そんなことある?


私の観劇感想って、誰かの言葉の引用だらけ、懐メロのYoutubeを張り付けたり、けったいなスタイルですけれど、これ、観劇中に頭に鳴り響いたよしなしごとをそのまんまメモして、後から「私は何でこれが思い浮かんだのだろう?」とアタマを抱えているのです。


たとえば



まだ配信前ですので、詳細な引用は避けますが、原作では中盤登場人物たちが「おかしなピクニック」に行き、アダムがジェインに「ほんものの魔法」を教える場面があります。


これさえ上手に使いこなせれば、きみは今まで誰にも思いつかなかったことや成し遂げられなかったことをやってのけられる。


星まで行く道だって見つけられる。


・・・この作品の原作の出版は1966年。アポロ11号が月に行ったのは1969年。



「星まで行く道」というワードを目にして、急にこの歌が響き出しました


ぼくらが生まれてくる もっともっと前にはもう


アポロ計画は スタートしていたのだろ?


本気で月に行こうって考えたんだろうね


なんだか愛の理想みたいだね



ポルノグラフィティ『アポロ』("OPEN MUSIC CABINET"LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007") / PORNOGRAFFITTI『Apollo(Live)』



人間が両手を広げても お空はちっとも飛べないが 


空を飛ぶ鳥で月まで行った鳥はいない



ほうきに乗っても空を飛べないニセモノの魔法使いが、ほんものの魔法使いでも行けない月に行ったってさ。


なぜ、人は月まで行けたのだろう。人が「本気で月に行こう」と考えたからだろうね。月を背景に飛ぶ鳥は、月に行こうって考えないものね。


「神秘さや不思議さに目を見はる感性」


この作品の冒頭に「幼なかりし日のヴァージニアに」という一文があります。


「ほんものの魔法」は明らかに児童文学、『「大人」から未来を生きる「子供」へメッセージを伝えたい、というつくりで、


主人公のアダムとヒロインのジェインの関係は、宝塚的ラブロマンスというよりは、おじいちゃんと孫娘、学習漫画の物知り博士と生徒役の子供みたいな関係(舞台版ではどんなアレンジになるのでしょうね)


人が月に行くまでには、まず空を自由に飛ぶ魔法のようなわざが必要。



二宮忠八はうどん県で、カラスが空を飛ぶ神秘に目を見張って、自分も飛ぼうと思って本気で「カラス型模型飛行器」を開発したけれど、あと一歩でライト兄弟に先を越された。



カラスを見たことが無い日本人はいないでしょう。でも二宮忠八はカラスを見て「なぜカラスは飛べるのか。その神秘がわかれば、自分も飛べるはず」って本気で思ったんだね。


二宮忠八は世界史の教科書に名前を残せなかったけど、彼の「神秘さや不思議さに目を見はる感性」=センス・オブ・ワンダーはホンモノの魔法だったと思う。



ということで、「ほんものの魔法使」とは「神秘さや不思議さに目を見はる感性」=センス・オブ・ワンダーの大切さを伝える児童文学なのかな、と思いました。



5/30(日)雪組 宝塚バウホール公演 『ほんものの魔法使』LIVE配信



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