作曲:小室哲哉!モーツアルトは実は女だった?「マドモアゼル・モーツアルト」
本作は、福山庸治の「モーツァルトが実は女だった」というフィクションを描いた同名コミックスを原作としたミュージカルです。
日本オリジナルミュージカルを牽引してきた音楽座を代表する名作で、1991年に初演され多大な人気を博し幾度も上演されました。モーツァルトの楽曲が使用されているのはもとより、小室哲哉が音楽を担当していることでも大きな話題を呼びました。 そして初演から30年が経つ本年、東宝製作により新たな『マドモアゼル・モーツァルト』が誕生することになりました!
天から与えられた音楽の才能に恵まれ常にその喜びに溢れていたモーツァルトが、父を愛しながらも男として育てられたことに葛藤し、偽って結婚した妻との関係、そして本来の自分の姿に悩みながらも、音楽と共に生きる決意をし、そして音楽と共に果てる―。
天才モーツァルトの一生をドラマティックに描き出す本作に、ぜひご注目ください!
音楽が「小室哲哉」さん、というのが、90年代の小室ミュージック全盛期に青春を過ごした管理人には興味津々!
この舞台は1991年初演の音楽座ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」を、東宝が脚本・音楽の著作権のみ「音楽座」から借り受けて上演するものだそうで。
地方民ゆえ、都市部の演劇事情など知ることのできなかったので、「音楽座」という劇団があったことすら存じ上げなかったのですが、1987年に旗揚げした劇団で、宝塚・東宝や松竹のような大資本でなく、相川レイ子さんという中心人物が音頭をとって、昭和の時代に「翻訳もの」でない日本オリジナルのミュージカルの傑作を次々に発表していたというからすごい。
MM The Journey vol.6 - マドモアゼル・モーツァルト Final Stage (2009年)-
音楽座ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」(2008年)
モーツアルトが実は女で、才能を世に生かすために男装していた!という斬新なアイデア!
残された映像を拝見するだけでもワクワクするのですが、こんな面白そうなものがずっと眠っていた背景には、音楽座の代表であった方が脱税事件を起こし、公演キャンセルで資金繰りがショートして、劇団が解散してしまった、という背景があったそうで。中小の劇団にとって、公演中止とは作品の、劇団の死に直結するものなのですね…
その後、小室哲哉さんも著作権譲渡詐欺とかありましたねえ・・・モーツァルトもですが、芸術の才能と金の管理の才覚が並び立つことは稀有なのでしょうか。
「演劇は生もの、その時に客席で見なくては意味が無い」という言葉をよく聞きますし、そのとおりですが、地方民で物理的に気軽に演劇に触れられない方や、後から生まれた世代に「アーカイブ」として映像を残したり、権利関係を処理して後世に演じ継いでいくのも、大事なことですよね。
宝塚は脚本、音楽、美術とほぼ自前ゆえ、配信時代にもすぐ対応できましたが、それが演劇界のスタンダードでは無いようですね。
舞台作品には、劇作家や出演者のほかにも、音楽や映像、美術の著作権など複雑な権利が絡むことから、主催団体が有料配信を行うには権利処理の煩雑さが大きな障壁となっていますが、今回の事業では、法律の専門家を含む専従チームが商業配信に必要な権利処理をまとめて行ったということです。
また、公演映像をデジタル化する今回の取り組みは、過去の優れた作品を未来に継承するうえでも意義深いものになっています。
そんないろいろと権利関係のややこしそうな中、こんな明日海さんにハマりそうな作品を探し出し、権利関係を処理して現代の観客にバトンを渡してくださる東宝様、ありがとうございます。
ぜひ配信してくださいね、東宝様!