宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

明日海りお「はじめての恋」あれ、歌詞が違う!


NHK「うたコン」を拝見いたしました。


明日海さんは井上芳雄さんと、今度帝劇と博多座で上演するミュージカル「ガイズ・アンド・ドールズ」から「初めて知る想い」を披露。


エロとか博打とかダメ・ゼッタイ、清純で超堅物な救世軍の軍曹・サラと、超大物ギャンブラーのスカイとが惹かれ合う想いを歌いました。




救世軍

きゅうせいぐん

Salvation Army

プロテスタントの伝道,慈善団体。メソジスト派の牧師であったウィリアム・ブースが独立して,1865年ロンドンのスラム街で Christian Missionの名のもとに貧民への伝道を始め,78年軍隊組織を模して救世軍と名を改めた。


聖書を唯一の権威とし,制服をまとい音楽を用いて街頭に進出,貧民への伝道,救済活動を行い,全世界 (約 70ヵ国) に広まった。


日本には 95年イギリスより渡来し,山室軍平らの努力で普及,東京に本営を構え,機関誌『ときのこえ』を出し,廃娼運動などの社会改革運動を行い,年末の社会鍋などで親しまれている。



救世軍 年末の社会鍋

社会鍋デモンストレーション2020【音声修正版】



明日海さんは芸歴は長いですが、女優としてのキャリアはまだ新人公演学年。(井上芳雄さんは帝国劇場が初舞台だそうですが)


「誰だって、恋はいつでも初舞台」という初々しさを演技力で表現していらしたと思います。高音がだいぶまろやかになったなあ。



さて、今回一番の驚きポイント。




「初めての想い」訳詞 植田景子

はじめての想い 君に出会い 君に恋した


これほど 誰かを愛するなんて 思いもせず


恋はワイン 心酔わせ バカげたラブソング 溢れ出すよ


この心 わかって欲しい 止められない この恋



あれ、歌詞が、宝塚でなじんできたアレと違う気がする?



宝塚版の「ガイズ&ドールズ」で訳詞を手掛けたのは、


宝塚歌劇の機関誌『歌劇』の元編集者で、シャンソンのレジェンドとも言われる元宝塚のトップスター「コーチャン」こと越路吹雪さんの元マネージャーで、


数々のミュージカル作品の訳詞を担当した『岩谷時子』さんの手によるもの。
 

はじめての恋を教えた君 忘れないよ


今まですべてを知りつくした 僕なのにさ


恋のワイン 甘く強く 心の歌あふれてくる


この想い 許してほしい 初めて知るこの恋




原曲
I've Never Been In Love Before 


Lyrics/Music: Frank Loesser


I’ve never been in love before


Now all at once it’s you


It’s you for evermore



I’ve never been in love before


I thought my heart was safe


I thought I knew the score



But this is wine


It’s all too strange and strong


I’m full of foolish song


And out my song must pour



So please forgive


This helpless haze I’m in


I’ve really never been


In love before


今回の帝劇・博多座上演版では、訳詞・日本語台本を宝塚歌劇団の植田景子、演出をマイケル・アーデンさんが担当されるそうです。


ふーむ。どちらかと植田景子先生の訳詞のほうが、原歌詞に忠実に訳していて、岩谷時子さんは甘く強く意訳しているのかな。


そういえば、「エリザベート」や「ロミオ&ジュリエット」も、宝塚版と東宝版で小池先生が歌詞を変えたりしていますね。



同じ作品の同じナンバーでも、宝塚での男役と娘役の夢見るデュエットと、外部のリアル男女が歌う時は、こんなふうに翻訳のニュアンスを変えている、というのは興味深いです。