宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

映画RRRを見た感想 大丈夫か、これ…








その発想はなかった!インド映画『RRR』決死のレスキューシーン





『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』


"RRR" Directed by S.S.Rajamouli and all related character and elements

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

脚本・演出/谷 貴矢


1920年、イギリス植民地時代のインド。ゴーンド族の守護者、ビームは、圧政を敷くインド総督スコットによって連れ去られた幼い少女を救うため、立ち上がる。


素性を隠しデリーへと潜入するビームだったが、少女の行方を追う中で出会ってしまったスコットの姪、ジェニーの美しく優しい姿に、恋をしてしまう。


そんなビームに協力したのは、デリーで偶然出会った、強く内なる大義に燃える男、ラーマだった。


二人はお互いの素性を知らぬまま、熱き友情を育んでいく。


だがラーマの正体は、インド人でありながらビームを捕らえスコットへ引き渡そうと目論む警察官であった・・・。


宿命に導かれた二人が進む先は、友情か?使命か?それとも愛か?



2022年に全世界で公開され、今なお大ヒット上映中の映画「RRR」を配信で視聴いたしました(7月28日からは映画館で吹替版も上映予定)。


・「~√Bheem~」の意味


映画は、


おそらく礼さんが演じる、ゴーンド族の守護者、ビーム(水属性)


と、


おそらく暁さんが演じる、インド人でありながらビームを捕らえスコットへ引き渡そうと目論む警察官ラーマ(炎属性)


のW主演扱いです。


が、映画ではビームは、インドの山奥で虎や狼と共に育った野生児で、


「村の女の子を連れ去った悪いイギリス人を、やっつけるぜ!うおーっ!」


が行動原理の、やや単純なキャラです。


ラーマのほうは、インド独立運動の活動家の父をイギリス軍に殺され、復讐心を内に秘めつつ、


「まずはイギリスの警察官となって出世し、権力を得て、いつかはイギリスを裏切って見返してやる!」


というやや複雑な内面を持っており、映画全体も”~ルートラーマ~”的なラーマ視点寄りで描かれています。


宝塚版の「~√Bheem~」のルートとは、道のほうのroute、ルートビーム~の「RRR」ということなのか、と理解しました。



・イギリス人極悪すぎ問題


私は子供の頃、学校の宿題で「おうちのおじいさん、おばあさんに、戦争のことについて聞いてみよう」というものがありました。


私の祖父は従軍経験があるのですが、「ワシはアメリカが好かん!戦争に負けて悔しい!アメリカに勝ちたかった!」と、学校の教科書や8月15日にニュースで流れる平和教育の視線とは若干異なる意見を持っておりました。


私は先生へのレポートでは「祖父は戦争には反対で、アメリカ兵は恨んでいないと言っていました」と書いた記憶があります。


映画「RRR」では、1920年当時インドを支配していたイギリス人は、インドの女の子をさらったり、女性を殺すことに躊躇しておらず、


反撃するインド人の側も、イギリス側の兵士たちを殺すことに躊躇していません。


私は、日本やハリウッドで最近制作された史実ベースの戦争映画を見たことがありますが、


敵味方に分かれていても、お互い人を殺すことに葛藤や躊躇がある心情を描いている作品が多かったように思います。


それゆえ、「RRR」の「インドを支配していたイギリスは、大っ嫌いだ」という本音を炸裂させている描写に少しうろたえてしまいました。




・バイオレンス激しい問題


血沸き肉躍るアクション・・・と言うよりは、拷問や射殺シーン、虎や猛獣をデリー市内に放つなど、容赦なく流血し肉片が飛び散る、グロテスク描写が多いです。


「RRR」って「R18+++」のことかと一瞬思いました(エロは無いです)


これ、映画館や配信で「見たい客がお金を払って見る」のは良いのですが、金曜ロードショーで流せるかなあ。


「残虐シーンをカットすればOK」という問題ではなくて、最近の日本の地上波TV番組のポリティカルコレクトネス(人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現)的に大丈夫なのか?




・ヒロインすることない問題


全体に『蒼穹の昴』並みに、男達の復讐の話で女性陣の出る幕が無い。


ビームには、少女の行方を追う中で出会ってしまった、インド総督スコットの美しく優しい姪、ジェニーとの中学生の初恋みたいな恋愛描写がありますが、


ラーマが地元の村に残してきた許嫁シータは、ただ待っているだけのヒロインで、せっかく美しい女優さんなのにもったいない。(エンディングでの豪華絢爛なダンシングでやっと本領発揮)



まとめ:スミレコードに慣れた方は、「RRR」予習の際は、心の準備をしておくほうがいいです。