宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

FNSムーラン明日海・城南海は松たか子・MayJ.論争を思い出した

FNS歌謡祭で、明日海さんのムーラン歌唱を拝聴いたしました。


「ママ、これ、女の子がたたかうの?おもしろそう、えいがかんで見たい」


説明しづらいな・・・



明日海りお、小池栄子が吹き替え!映画『ムーラン』日本版予告編



「ムーラン」予告編



デュエットした城 南海さんは島唄の歌い手


日本版主題歌「リフレクション」を歌うのは、シマ唄(奄美民謡)をルーツに持つシンガーの城 南海。同曲を圧巻の歌唱力で歌い上げる。城は今回主題歌を担当することに関して、「本当の自分って何だろう……そんな自分の思いと、ムーランの姿を歌詞に重ねました。【私を生きる】というワードが大きなポイントで、ムーランの願いを込めています」とコメントしている。

城南海さんは奄美民謡をルーツに持つ方だったのですね。


「リフレクション」の曲調は、ムーラン伝説の舞台の、中国の南北朝時代の北魏(A.D.386~534)という設定にとらわれないというか、


まあ、20世紀の西洋の方がイメージする”アジア”ってこんな感じだろうな、というふんわりした感覚を掬い取ったような曲調ですね。


そこに奄美の民謡という、汎アジア的というか、日本だ中国だといった枠を超えた、アジアの古層の記憶を伝えるような声の響きがよくマッチしていたなあ、と思います。


明日海は”役者歌”

以前「アナと雪の女王」がヒットした時に、エルザの吹き替え担当として「ありのままで」を歌った松たか子さんと、エンディングで同曲を歌ったMayJ.さん、


どっちが歌が上手いのか、といった論争があったのですが、


別に優劣ではなくて、松たか子さんは女優であり、芝居の延長として「役者歌」として歌い、


MayJ.さんは物語が終わった後に、生粋のシンガーとして「テーマソング」として歌っていたので、適材適所だなあ、と思っておりました。


明日海さんが歌いだしたときは、ムーランという中国版オスカルの眼になっていて、あ、役に入っているな、と思って、


城南海さんと向かい合った瞬間ふっと役をといて「みりおさん」に戻るのが面白かったです。


宝塚ではファンの前で”男役”をとくことなんてなかったので。



クリスチーナ・アギレラさんによるムーラン新曲「Loyal Brave True」


Christina Aguilera - Loyal Brave True (From "Mulan"/Official Video)


War is not freedom over my shoulder, I see a clear view

戦争は自由ではない 肩越しにはっきり見える。


I am a tiger's fool

私は虎痴(こち)(三国志の曹操の忠臣「許褚(きょちょ)」のあだ名。ぼーっとしているように見えて、ずば抜けた危機察知能力と戦闘力で曹操を救った)


Loyal =忠 Brave=勇  True=真


忠とか孝とか、見慣れた漢字だけど、こうやって外国の方のフィルターを通して見ると「ああ、漢字って表意文字なのね」と1文字の持つ意味にドキッとします。眩耀(げんよう)の谷でも謝先生が作中で人物に忠だ義だと言わせていましたね。


アギレラさんによるとこの曲は

私の新曲“ロイヤル・ブレイブ・トゥルー”は、人の心の弱さと強さの微妙なバランスを表現した曲になっているわ」と述べている。

中国の古い風俗画のようなタッチの絵だったアニメ版には「リフレクション」が似合うなあ、と思います。


tiger's fool・・・虎の愚・・・中国の固有名詞(人名)の英訳だけど、英語にすると意味深だな・・・これが実写版のキーワード?


令和の時代に、新たな人生に踏み出す明日海りおさんには、「Loyal Brave True」の方が似合うかも。いつか明日海バージョンを聞く機会があるといいな。