『Eternal Voice 消え残る想い』ポスター解読
ミュージカル・ロマン
『Eternal Voice 消え残る想い』
作・演出/正塚 晴彦
ヴィクトリア女王統治下のイギリス。考古学に傾倒しているユリウスは、古美術商を営む叔父に頼まれ、アンティーク・ハンターとして各地を飛び回る生活を送っていた。
そんなある日、彼はメアリー・スチュアートの遺品とされる首飾りを手に入れる。
叔父は色めき立つが、その日からユリウスは原因不明の目眩や悪夢に悩まされるようになる。
あの首飾りは呪われているのではないか。
思いあまったユリウスは超常現象を研究する友人の元を訪れ、助手を務めるアデーラという女性に巡り会う。
アデーラはユリウスを一目見るや、全てを察したかのように彼の状態を言い当てる。
この二人の邂逅はまさに運命的なものであった。そして二人はやがて巻き起こる国を揺るがしかねない大事件へと誘われてゆく…。
管理人:『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』でコナン・ドイルが降霊術に参加していた頃のお話ですね。
紅子:ヴィクトリア女王統治下のイギリスは、産業や化学が急速に進歩した時代でしょ。サイエンスの時代に、本業は医者だったコナン・ドイルが降霊術にハマっていたのはなぜ?
管理人:ヴィクトリア時代の後期は、昔ならオカルト現象としか考えられなかった
「遠くにいる人と話す」
「目で見ている風景を、画家に頼まなくても絵に残せる」
「絵が動く」
といった魔術のようなことが、電信、写真、映画の発明で次々と具現化し、科学と魔術の境が不確かになった時期。
「電話で遠くの人と話せるなら、死んだ人とも話せるかも」
「目に見えない霊も、写真になら写るかも」
と真面目に考える人も多かったのかもね。
メアリー・スチュアートとは
管理人:スコットランド女王(在位1542年―1567年)。エリザベス1世のいとこのスコットランド王ジェームズ5世の子。
生後1週間で即位。幼時よりフランス宮廷で育てられ,1558年フランス皇太子(後のフランソア2世)と結婚。
16歳でフランス王妃となるも、17歳で夫と死別。
スコットランドに帰国し再婚、息子を産むも、夫は暗殺される。
よりによって、夫を殺した容疑者と結婚したため、周囲の反感を買い、息子(ジェームズ六世)に譲位してイングランドに逃れる。当時25歳。
イングランド王位継承権をもっていたがゆえにエリザベス1世に19年間も幽閉され、陰謀荷担を理由に44歳で処刑された悲劇の女王。
紅子:2人とも、聖乃 あすかさんが演じていたバラ王子ヘンリー・テューダー(のちのヘンリー7世)の子孫なのね。
管理人:結局、メアリーを処刑したエリザベス1世の勝ち、なんだけど、エリザベス1世に子どもがいなかったため、イギリス王位は現在に至るまでメアリー・スチュアートの子孫たちが担っているの。
紅子:皮肉な運命ね…
管理人:メアリーはエリザベス1世への反逆罪で処刑されたんだけど、その反逆罪が本当に成立するものだったのかについても、現代に至るまで議論があるそうです。
彼女がイングランドで19年にわたって幽閉されていた時期に書いたとされる手紙は、まだ発見されていないか、すでに失われた可能性もある。
さらにその手紙は、21世紀のAIでも読み解けない複雑な暗号で書かれていて、2023年になってやっと解読されたものも50通以上あるそうです。
イスラエル在住でフランス人のコンピューター科学者であるジョージ・ラスリー氏、ドイツ人のオペラ教授であるノーバート・ビールマン氏、日本人の物理学者である友清理士氏の3人は、最近、メアリー・スチュアートが暗号で書いた50通以上の手紙を発見した。
使われていたのは彼女自身が考案した洗練された暗号で、文字数の合計は5万字にも上る。
3人の"探偵"は、コンピューターソフトウエアと伝統的な暗号解読技術を巧妙に組み合わせてメアリーの暗号文を解読し、彼女とその政治的環境について多くの新情報を明らかにすることに成功した。
紅子:じゃあ、呪いの首飾りには、メアリー・スチュアートの暗号解読のキーが隠されていて、欧州史の定説を覆す大発見につながるとか、
メアリーの子孫である、ヴィクトリア女王の秘密が明かされるとか...
管理人:なんか、そういう話、宝塚で最近見たような...
紅子:そもそも、マリー・アントワネットの首かざり事件の次は、「メアリー・スチュアートの首飾り」
管理人:『PAGAD(パガド)』とも被ってるわね。演出家同士、もうちょっと相談してから上演計画を立ててほしいわね。