宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

ホームズ感想 これはミステリではなくオタクの論文


「ホームズ」ネタバレ感想です。



最近駄作より「難解作」が多くありません?


最近の若手の先生のお芝居を拝見していて思うのですがね。


あっけらかんとした駄作であちゃー!というよりは、


初見では人物名、事件名、地名、聞きなれない固有名詞が連発されて、客の脳内で情報処理が追い付かなくて「???」で展開についていけなくなる、という難解な作品が多くありません?


まあ、初見では贔屓のイケメンぶりを楽しめればOK、どうせ何度も見るし、というお客が多数なのが宝塚というところでしょうが、


配信(ライビュ)で初見で感想を書くファンの身にもなってくれえ!




個人的に「シャーロック・ホームズ」は、小学生の頃、図書室のポプラ社?の子供向け単行本を読み漁っていたので、宙組版ホームズはとても興味深かったです。


が、管理人はもう記憶喪失にでもならない限り、まっさらな状態でホームズものを見られないので、原作やTVドラマなどで流布された「ホームズ」を全く知らない方が初めてこの作品を見たら、どう思うのだろう?というのが一番気になっておりました。



原作未読、ホームズをモチーフにしたTVドラマなども未見で宙組版の舞台を観劇した方々の率直なご意見を拝見しておりますと、やはり生田先生のホームズへのオタク愛が濃すぎて、


ギリシャ神話も聖書も全く知らずにルーブル美術館に行って、みんな「上手い絵」なのはわかるけれど、「どう凄いのか」わからない?


みたいな印象で戸惑っていらっしゃる方も多いようで。


宙組版ホームズはいわゆる「一次創作」としての作品ではなく、「二次創作」

この宙組版ホームズは、原作本編の舞台化ではなく、いわゆる「二次創作」なんですよ。


シャーロック・ホームズという作品は、読者が「ホームズごっこ」をしたくなるところがあって、


現代でも熱狂的なホームズおたくである「シャーロキアン」というファンが、原作の些細な矛盾や作者の設定ミス?と思われる部分を、オリジナルな解釈で推理して発表し合っています。




生田先生も相当なシャーロキアンらしい。


本作はコミケで頒布されている、市場に商業流通しているマンガやアニメについて、ファンたちが「ぼくが考えた、原作の空白を埋める最強の解釈」を創作した「二次創作」的なものを、あたかも「一次創作的なもの」として舞台に上げている感がありますね。


この宙組版ホームズ、個人的には原作を刊行順に読んだ方はみんな思うだろう


「アイリーン・アドラーは「ボヘミアの醜聞」事件の後どうなったの?」


「ホームズはモリアーティと滝つぼに落ちたはずなのに、何で次の巻であっさり登場?空白の期間何をしていたの?」


のミッシングリンクを埋める、ホームズオタの解釈として、興味深い作品でした。



みんなホームズといったら、「謎解き」だと期待していくのですが、まず舞台に「問題」が明確に提示されずに、数式だけがつらつらとあって、解答も提示されて、


さて、この問題の「問い」はなんだったの?がピンとくる方には面白いのですが、「問い」を持たずにいきなり見ても面食らうかもしれません。



これから「ホームズ」観劇の機会がありましたら、東京創元社の「シャーロックホームズの冒険」の第1話「ボヘミアの醜聞」だけは読んでから行くのをお勧めします!









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