『川霧の橋』配役発表クロノスケあの時に戻る時計を貸して
この画像に「明治座 10月公演」とあっても何の違和感もない。
お光 の海乃 美月さんの、「宝塚の日本物」というより「昭和の商業演劇の座長公演に出てくる女形さん」な風情がいいですねえ。
山本周五郎の昭和の時代小説の空気感を出すのは、今の若手女優さんではなかなか難しくなってきましたからね。しみじみ。
幸次郎 月城 かなと
お光 海乃 美月
扇寿恵 京 三紗
お常 梨花 ますみ
源六 光月 るう
お蝶 夏月 都
半次 鳳月 杏
小りん 晴音 アキ
権二郎 春海 ゆう
巳之吉 夢奈 瑠音
杉太郎 蓮 つかさ
おりく 姫咲 美礼
清吉 暁 千星
お甲 麗 泉里
お町 清華 蘭
辰吉 英 かおと
菊三 朝陽 つばさ
勘十 空城 ゆう
花弥 妃純 凛
お組 天紫 珠李
およし 結愛 かれん
お咲 佳乃 百合香
お銀 花時 舞香
吉三郎 甲海 夏帆
お千代 蘭世 惠翔
千代松 柊木 絢斗
お民 白河 りり
徳二郎 瑠皇 りあ
お糸 まのあ 澪
鶴吉 毬矢 ソナタ
おいち 咲彩 いちご
久造 夏凪 せいあ
喜助 月乃 だい亜
お秋 詩 ちづる
三吉 七城 雅
仙太 水城 あおい
お君 花妃 舞音
万吉 涼宮 蘭奈
小僧 澪 あゆと
登場人物、みんな苗字が無い。
時代劇だけど、お侍が全く出てこないのね。山本周五郎やなあ。
一般からは大衆作家とみなされ、新進、中堅時代には純文学作者や批評家からはほとんど黙殺された。
だが山本は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした。
山本はつねに日の当たらぬ庶民の側にたち、既成の権威に敢然と抵抗する態度を持し続けた。
あの火事さえなかったら
このお話はちょうど元禄バロックロックの舞台と思しき、赤穂浪士の討ち入りの頃(元禄15年12月14日 (旧暦) 1703年1月30日)が舞台。
討ち入りの翌年、元禄16年11月29日(1704年1月6日) 『水戸様火事』 という、 焼失した武家屋敷275・寺社75・町家2万、焼失面積では明暦の大火を上回るものになるという大火災が発生。
この大火災により、登場人物の運命の歯車がギリ、ギリ、ギリと狂っていく物語です。
原作を読んでおりますとですねえ、ヒロインのお光ちゃんが、すぐそこに手を差し伸べてくれる人がいるのに、自らの矜持で情けにすがることをよしとせず、さらに追い詰められていくさまが、
読んでいる自分がすり鉢の中に入れられて、ゴリ・ゴリ・ゴリとつぶされていくように身に沁みて痛い。
ああ、あの火事さえなければ。あの時、あの人に付いて行っていれば・・・
ねえ、クロノスケ、あの時に戻れる時計を貸して。
なったからといってゆくすえ幸せとはきまらないし、なりそこねたからといって一生うだつがあがらないわけではなかろう。
運、不運というものは、死んでみなければわからないものさ。
こういうセリフが身に沁みる歳になりました(しみじみ)
路線の配役についてはこちら(ネタバレあり)
※演者名は今回の公演に置き換えました。
隅田川近くの大工の棟梁の家、杉田屋では、次の棟梁として三人の候補の中から幸次郎(月城)が選ばれ、残る二人、半次(鳳月)と清吉(暁)は後見人とされる。
半次(鳳月)は分をわきまえるが、清吉(暁)は不服として上方へ飛び出し、その出発前に幸次郎が密かに慕っている研ぎ職人・源六(光月)の孫娘、お光(海乃)に先手を打って、夫婦約束を交わしてしまう。
杉田屋夫妻は源六にお光を後継ぎの幸次郎の嫁にと申し込むが、源六(光月)は断り、幸次郎(月城)自身もまたお光(海乃)から先約があると断られてしまう。
やがて江戸を大火が襲い、幸次郎(月城)は源六(光月)とお光(海乃)を助けに行くが、源六は死に、二人も川に流され、幸次郎はお光を見失ってしまう。
その二年後、結婚した幸次郎(月城)は清吉(暁)と所帯を持ったお光と再会する。しかし、清吉は罪を犯し、石川島に送られていた。