宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

1周回って実は初心者向け?『元禄バロックロック』


海老蔵、保険会社と提携して歌舞伎を無料配信


先日、我が家が加入している保険会社の営業さんが、「海老蔵の歌舞伎の配信を無料でご覧になれますよ」と紹介してくださいまして、


『通し狂言 命懸歌舞伎ノ道筋 三升先代萩(みますせんだいはぎ)』を配信で鑑賞しました。


仙台藩伊達家のお家騒動を題材にした古典歌舞伎「伽羅先代萩」をモチーフに、市川海老蔵が7役早変わり!


通しで演じると6時間くらいかかりそうな大作から、見どころ7場面を抜き出して2時間にまとめ、海老蔵が正義の味方、悪役、女役まで演じ分けるという、まさに命がけの歌舞伎の道筋!




秋の特別公演 古典への誘(いざな)い


海老蔵が演じた7役の中で一番印象的だったのは、お家騒動にゆれる中、若様を守る乳母乳人政岡(まさおか)役


敵方が若様にお菓子を進呈するのだが、ひょっとしたら毒が入っているかもしれない!と場に緊張が走る。


そこに、普段から毒見役として育てられた政岡の子が走り出て、ぱっとお菓子を食べると、とたんに苦しみだす!


計画露見を恐れた敵方によって、政岡の子はなぶり殺しにされるのだが、政岡は顔色一つ変えず、立派に若様を守り抜く。


これぞ忠誠の鑑!


・・・


海老蔵、歌舞伎では立役専門で女形は滅多に演じないそうですが、立ち姿の立派さ、若様を守り抜いた後で我が子の亡骸に「立派に死にしゃったなあ」と初めて涙を見せるところ、


TVで見た海老蔵さんの父親としての顔、在りし日の夫としての姿が重なって、もう見ているこちらも胸がいっぱいになってねえ・・・


・・・しかしなあ。


評価の定まった古典作品について、現代の価値観でばっさり判断してはいけない、ということは頭では分かっているのですが、


自分も親になり、家族で仲良くご飯を食べた後で、配信で「子どもがなぶり殺しにされてもじっと耐える」話を見ると、消化に悪い(汗)


普段の劇場公演に比べても、歌舞伎初心者の割合が高そうな無料配信の演目としてはどうなんだろうなあ、とは思いました。もっと気楽に見られる、消化にいい演目は無かったのだろうか。


これから初心者を宝塚にお誘いするなら


歌舞伎に限らず、従来の日本物のお芝居は、登場人物の価値観が現代と違い過ぎて、


組織(殿様)や上司、舅への忠義で自殺したり子供を殺す価値観や、女性の社会的立ち位置が低くてひどい目にあう、というところが、


現代からするとどうにも重っくるしい、忘れたい過去みたいなところがあって、いまいち動員が厳しいのかなあ、と思うことがあります。


(前近代の西洋だって、女性の立ち位置は低かったのですが、遠い異国のお話なのでまだ距離を持って見られる)


で、『元禄バロックロック』ですよ。


宝塚の古参ファンには、開幕前からトンチキ疑惑が飛び交っておりますが(笑)


令和の時代には、『元禄バロックロック』こそ主流の時代劇かもしれませんよ。


昭和世代には、時代劇は「TVでお年寄りが見るもの」でしたが、


平成生まれの世代にとっては、


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といったイメージで、もはやチャンバラ時代劇は1周回ってカッコイイ存在。


若い世代には『元禄バロックロック』意外と?刺さるかも。


まとめ:宝塚大劇場『元禄バロックロック』チケット好評発売中。良い席はお早めに。