宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

討ち入りの資金がありません!?2分で予習『元禄バロックロック』



赤穂藩士は何に怒っているのか?


紅子:祝!花組『元禄バロックロック』初日!


ところでさ、ずっと疑問なんだけど、赤穂浪士って、殿さまの敵討ちで吉良邸に討ち入ったわけだよね?


現代に置き換えると、藩って幕府から地方行政を委託された会社で、殿様は社長、武士はサラリー(禄)をもらうサラリーマンだよね?


社長が、天皇陛下がいる赤坂迎賓館?で刃物を持って暴れて、


被害者は軽傷なのに、社長が逮捕されて即日死刑になって、


会社が潰れて、残った社員が激おこで被害者側を襲撃するんだよね?


なんだか腑に落ちないんだけど・・・



管理人:『シティハンター』への反応を見ると、令和と昭和の30年間で価値観はだいぶ変わったよね。


令和と元禄は300年も時代が離れているんだから、現代の感覚では赤穂藩の旧藩士たちの価値観は遠いよね。


子供向け歴史学習漫の監修でも有名な山本博文さん(東京大学教授)の解説が興味深かったので紹介するわ。




「赤穂事件」とは、元禄14年(1701)3月14日に起こった、赤穂藩主の浅野内匠頭が高家筆頭の吉良上野介に斬りつけた刃傷事件と、


その翌年12月14日に、赤穂の旧藩士たちが吉良上野介の屋敷に討ち入り、上野介の首を取った事件、その一連の事件を総称したものです。





アニメでみる“忠臣蔵” 2分でわかる物語


管理人:赤穂藩には藩士が300人くらいで、討ち入ったのはそのうちの47人。


紅子:6分の1以下?意外とすくな!


管理人:当初は120人くらいが「敵討ちします!」と言っていたらしいんだけど、退職金をもらって、とっととよそに再就職した藩士も多かったみたいね。


山本先生によると、赤穂浪士たちは、浅野内匠頭を心から慕っていたからとか、吉良が憎くてしょうがないから、というよりは、


今の幕府の政治は間違っている!私たちは不正を正し、社会正義の実現の為に討ち入るのだ!


て理論だったみたいよ。


赤穂の旧藩士たちは、実は藩主が切腹したことについては理不尽だとは一言も言ってはいません。


これは、江戸城内で人に斬りかかれば切腹になるのは仕方がないと、藩士たちもわかっていたからです。ただ問題なのは、吉良が生きているということでした。


刃傷事件を起こしたということは、武士の世界では「互いに喧嘩をしている」ということになるわけです。


だから、喧嘩両成敗というのが当時の法律的な常識であって、喧嘩をして浅野が切腹になったのなら、相手の吉良も切腹するのが当然であろうと考えるわけです。その喧嘩相手の吉良に切腹をさせないという処置に対して、赤穂の旧藩士たちは怒っているのです。



大石内蔵助は、基本「とにかく討ち入りを!」とはやる浪士たちを「内匠頭の弟、浅野大学をたてて浅野家再興を目指そう」となだめる立場だったそうよ。


でも、お家再興はならず、


町人たちは


熊さん:「赤穂浪士は討ち入りすると思っていたら、命日になっても討ち入りしないじゃん」


銀さん:「腰抜け侍」


八っちゃん「アコウじゃなくて、あほう じゃ」


・・・


赤穂浪士 壱「お家再興したら、再就職できると期待して待っていたのに…」


赤穂浪士 弐「おれやっぱ、よその藩に再就職しようかなーっと思っていたけれど、


「腰抜け侍は雇えない」って・・・


赤穂浪士 参「もう、討ち入りするしかないでしょ!」



紅子:なんとなーくの時代の空気感ってやつね。


本質は何かというと、やはり喧嘩両成敗法の実現ということだと思います。浅野と吉良は「喧嘩」をしたわけです。喧嘩は、両成敗というのが「天下の法」、つまり「正義」であると考えているわけです。それなのに主君だけが片落ちに切腹させられて、吉良は生き残っている。


幕府はその吉良をどうにもしてくれないのだから、そういう不正義な状態がまかり通る世の中では良くないので、自分たちが実力で吉良を討つことによって、社会の正義を実現しようということです。彼らがしたことは、誤った幕府の政治を実力で是正することでした。


現代から見れば、主君が勝手に斬りかかったわけですから、逆恨みのようなものですが、彼らとしては正義の行動だと思ってやっているわけです。


管理人:現代の基準で、「逆恨みテロリスト集団 47RONIN」と決めつけては、当時討ち入りに喝采した人たちの気持ちはわからないのかもしれないですね。


忠臣蔵異聞映画いろいろ


最近の忠臣蔵の映画は、赤穂浪士を「討ち入りにかかった費用」「討ち入らなかった赤穂浪士」といった切り口で描いた映画が多いですね。



討ち入りの資金がありません!



映画『決算!忠臣蔵』予告90秒 11月22日(金)全国ロードショー


管理人:「忠臣蔵」の決算書、9,500万円だったの!


紅子:「9,500万円」ってけっこうありそうだけど、47人分だからねえ。



「来年の3月14日の殿の命日に、吉良を撃つ!」


「来年の3月まで、討ち入りの資金が持ちません!」


・・・


「お金が無いので、予定を3か月繰り上げ!12月14日に討ち入ります!」




討ち入りしなかった赤穂浪士のその後を描く「最後の忠臣蔵」



映画『最後の忠臣蔵』予告編



討入りから16年間、名誉の死を許されなかった寺坂吉右衛門と瀬尾孫左衛門。

二人は、それぞれの使命を果たすためだけに懸命に生きてきた。


吉右衛門は赤穂浪士の遺族を捜して全国を渡り歩き、ついに最後の一人にたどり着く。


孫左衛門は武士の身分までも捨て素性を隠し、可音と名付けた内蔵助の忘れ形見を密かに育てあげる。


番外編 ハリウッド超大作『47RONIN』


剣と魔法とモンスターが跋扈する忠臣蔵



映画『47RONIN』予告編


これを見たら、


クロノスケとキラ、二人の時がシンクロし、エドの中心で愛が煌めく。バロックロックな世界で刻む、クロックロマネスク


なんて可愛いもんだよ!