宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

真彩希帆DS 宝塚時代はあれでもセーブしていたとは!


5文字で感想「一人交響曲」


真彩希帆さんのDS「espressivo」の配信を視聴いたしました。


espressivoとは音楽用語で「表情豊かに」という意味だそうです。


いやーっ、真彩さん、宝塚史上屈指の歌うまとして宝塚の歴史に名を刻むのはもう確定でしょうが、


宝塚時代、「あの」歌唱力でも、実は実力をセーブしていたとは!


真彩さんは「この人物はどんな声の色をしているんだろう?」と声色のイメージから役にアプローチするそうで、


曲により、歌詞により、ある時はピアノの音色、またある時はヴァイオリンの音色、フルートの音色、と色とりどりの声色を使い分けておりました。


1人オーケストラ?


セットリスト&感想


地上の天国(「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」)


Maiden Voyage(「SUPER VOYAGER」)


Melodie de Paris(「ファントム」)


Oh My Love(「Music Revolution!」)


革命の犠牲者(「ひかりふる路」)


雨の凱旋門(「凱旋門」)



宝塚時代の曲は、ディナーショーの雰囲気に合わせて、メロディを際立たせてリリカルに。


お芝居の役として心情を歌い、舞台の一部を再現するというよりは、


ファンが宝塚の舞台を見て帰ってきて、なかなか寝付けなくて、ベッドの中で贔屓の歌声を思い出していて、いつしか眠りに落ちた夢の中で響くような声の色。



愛の歌(「皇帝と魔女」)


真彩さんが引っ込んだので、お着替えかと思いきや、


1番は文化祭の時のソロ歌唱の録音を流し、2番は現在の真彩さんが歌うという趣向。


文化祭から12年の時を経て、音校時代はヴァイオリンのソロのような声の響きだったのが、今や一人で弦楽四重奏のような声の響きになったのですね。



いちどハートを失ったら(「ミー&マイガール」)


吉田先生が奏でるピアノに寄りかかるように、すこしジャジーに宝塚のサリーより年齢が上の大人の女性の声。


ディズニーメドレー

夢はひそかに
(「シンデレラ」)


Part of Your World(「リトルマーメイド」)


Jouney to the Past(「アナスタシア」)



ディズニーの曲って、基本的にこれから人生に踏み出す女の子に向けた応援歌、というニュアンスの歌詞が多いと思います。


自分が親になって子育てをしていると、子供の成長を見るにつれ「私がこの子の歳だったころ、どんなことを考えていたっけな」と、自分の子供時代を振り返ることが多くなるんですよ。


私はもう中年のおばちゃんでお母ちゃんですが、自分の中にはチコちゃん(仮称5歳)とかこんちゃん(11歳)とか、小さな女の子の時の人格が残っていて、今現在の精神年齢のライビュ専科の人格と共存している感覚がある。



真彩さんが、海の人魚アリエルが、陸の世界に胸躍らせる”Part of Your World”を歌う時、


宝塚音楽学校の受験を目指す少女時代に戻って歌っているようなピュアな声と、宝塚を退団してディナーショーを歌う現在の伸びやかな声とが重なり、少女真彩を大人真彩が「大丈夫!」と見守っている構図が見えたような感覚になりました。


”Jouney to the Past” 音が1音1音ゆっくりと積み重なっていくような曲調を、音を1音1音掴むような歌い方が、雪道を一歩一歩踏みしめるアーニャの過去への旅、自分との対話を現わしているようでした。



会場のお客様の挙手による一番人気の歌を歌うコーナー


1 On My Own(「レ・ミゼラブル」)


2 命をあげよう(「ミス・サイゴン」)


3 私だけに(「エリザベート」)



会場の挙手では「私だけに」が1位でしたが、配信もあるので特別にOn My Ownも歌唱してくださいました。


今回のDSの個人的MVPはこの曲かなあ。




映画『レ・ミゼラブル』 "オン・マイ・オウン(On my own)"


エポニーヌはマリウスという青年が好き。なのにマリウスはコゼットという少女に一目ぼれ。


「コゼットとの仲を取り持ってよ」


雨の中、コゼットの家を探すエポニーヌ。


また一人 あの人がそばにいるふりして

独りぼっち あの人と朝まで歩くの

心の中の 彼に肩を抱かれながら

道に迷ったら瞼を閉じる

ほら、彼が来てくれた


彼がいなければ魔法も色あせて

木々は枯れ街もよそよそしい


愛してる でも日ごと思い知らされる

今までだって あたしは恋人の振りしてただけ


彼の世界には あたしなんか要らない

幸せにあふれた世界 あたしは一度も手にしたことがない


愛してる 心から 愛してる でも届かない

あたしは独り・・・


”on my own” とは ”誰の助けも借りずに、自分の意志で”という意味だそうです。


切なすぎる片思いだけど、その恋心によってエポニーヌは「私はあくまで自分の意思で、愛する男のために恋敵との仲を取り持つの」と言える強さを得る。


真彩希帆さんのきっぱりとした自我を持つ声の色を聴いていると、こんな恋の在り方も、つらいだけじゃない、素敵じゃないか、と思えてきました。



My Everlasting Dream(宝塚時代のミュージックサロンで披露したオリジナル曲)


My True Love(私の真実の愛)(「ファントム」)


Higher(「アリージャンス~忠誠~」)


少女の頃、母に押してもらっていたブランコを、大人になった今、自分で高く、より高くこがなくては、という決意を歌う曲。


真彩さんは退団公演の間、この曲を聴いて自分を奮い立たせていたそうです。


アンコール


おひさま(平原綾香)


MC


「貴方の心の中には、真彩希帆がおりますから。呼ばれればいつでも歌いますよ。あなたのために。」


真彩希帆さん、あなたこそエポニーヌ!