宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

やだ、耳が火照る 笑『Sweet Little Rock 'n' Roll』感想

中村 暁先生、『邪馬台国の風』の脚本を書いた先生と同一人物ですよね(笑)

※ネタバレ感想です。
#『Sweet Little Rock 'n' Roll』


シェイクスピアの「から騒ぎ」を下敷きに、舞台を1950年代のアメリカに移してハイスクールに通う若者たちの恋模様を描いた『Sweet Little Rock 'n' Roll』。



人より牛が多いオクラホマからリール・ハイスクールにやって来た、イケメン転校生ビリー(縣 千)


クールを気取るビリーがどうにも気になり、やたらつっかかる、男子への理想が高いシンディー(夢白 あや)


おせっかいすぎる先生&クラスメートたちは、喧嘩ップルをくっつけようと、本人にわざと聞こえるように


「ビリー、実はシンディのことが・・・」
「シンディ、実はビリーに・・・」



クラスメートの温和なロバート(彩海 せら)&メアリー(音彩 唯)、


ぐいぐいジョー( 天月 翼)の作戦に引っかかって大騒動になるロッキ―(眞ノ宮 るい)&ミリー(華純 沙那)の恋の行方は?


上流階級の貴族の権謀術数的要素があって、現代人には素直に笑えないところもあるシェイクスピアの『空騒ぎ』を、プレスリーソングが響く1950年代の陽気なアメリカの高校生の、罪の無いてんやわんやに置き換えています。


(唐突な恋敵ぐいぐいジョーの登場も、ニセ逢引シーンも、それを信じちゃうアホなロッキーも、死んだふりしちゃうミリーも、実は原作に元ネタがある。)


ビリー(縣)&シンディー(夢白)コンビは、原作のベネディックとベアトリスの役どころそのまんま。


ロバート(彩海)&メアリー(音彩 )、と ロッキ―(眞ノ宮 )&ミリー(華純 )は、原作ではクローディオ&ヒーローというコンビの役どころをうまく分割して、役を増やしています。


宝塚ファンのムネキュンのツボを心得た、軽妙な翻案だと思います。



中村 暁先生のオリジナル脚本は、個人的に全く評価していないのですが(汗)


原作のエッセンスを抜き出してうまく置き換え、生徒に過不足なく演技指導する腕は確かだと思うので、中村先生は「演出業」に専念してください(祈)



ビリー(縣)&シンディー(夢白)コンビみたいな恋がしたかった(笑)


自分の欠点を教えてもらって、直すことのできる人間は幸せだ。

原作であるシェイクスピア作『から騒ぎ』、初演はなんと1599年頃、関ケ原の合戦の頃に、こんなお話があったのだ!


原題は


Much Ado About Nothing(なんでもないことに大騒ぎ)



シェイクスピアは駄洒落というか掛詞、ダブルミーニングが好きな人で、 NothingとNoting


Much Ado About Noting気づき/認識 についての大騒ぎ)にもかけている。



なんでもないことを、思い違いで大騒ぎして、大事なことに気づく。



顔を合わせればわあわあ口喧嘩している、ビリー(縣)&シンディー(夢白)。


口喧嘩というか、丁々発止のおしゃべり競技ゲーム、陽気なバトルを楽しんでいるようなところがありますね。


空気を読み合って「うんうん、わかるう」とうなづき合うより、


あえて、相手がああ言えばこう言う、ディベート合戦が楽しいのでしょうね。



縣ビリーの、突っかかって議論を挑んでくるシンディに、ウザがるでもなく、上から目線で「オモシレー女」でもなく、対等に渡り合っているところがいいですね。


縣の知的なところ、「娘役を守る」というより、対等な相手として敬意を持って接する男役像、いいわあ。


夢白シンディも、勝気で、男性に対して「モテテク」を駆使するわけでもなくやりあって、


結局2人は意気投合。



・・・いいなあ。私もそんな恋愛したかったなあ。


しょうがないから、紅子ちゃんの原型みたいな脳内人格とトークしていたわ。


紅子:呼んだ?ってか、アンタ仕事で見られないとか言ってなかった?




管理人:コロナのせいで、仕事がキャンセルになった。



なんかさあ。50年代のアメリカでもありえないような、おとぎ話の『Sweet Little Rock 'n' Roll』だけどさあ、田舎の高校で地味な青春を送った自分を思い出しちゃった。


私は図書部にいて、部活内容は部員で課題図書を読んだり、映画のビデオを見て感想を語りあう、ゆるーいところだったんだけど。


部員に気になる男子がいてね。私その子が好きだったんだけど、そいつがお気に入りの映画を、感想戦ディベートでは粗さがしして突っ込みばっかり入れたりして、


アイツも弁が立つから、けっこう言い返されて、そんな議論が私は楽しかったんだ。


別にそれだけで、関係は進展せず卒業しちゃったけどね。



その後大学に行っても、社会人になっても、あれだけ映画について議論してくれる人っていなくてね。


しょうがないから、映画を見たりした感想を、架空の口の悪い人格を設定して、脳内討論会するようになったの。


それが、あんたの原型よ。


💡 アンタ、次から「シンディー」に名前変えて!私ビリー役する!



紅子:なんでやねん!