「宝塚」の醍醐味は人間賛歌!「元禄バロックロック」感想
花組公演『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』初日舞台映像(ロング)
花組公演『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』制作発表会パフォーマンス(ノーカット)
舞台は基本、タイムリープ
年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず。
『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』で卒業される皆様が、
令和のエドの満員のお客様、全国のファンと同じ空間、同じ時間を共有して卒業できて、本当に良かった。
花組が誕生した100年前、1921年に上演された「眠りの女神」や、1927年に上演された「モンパリ」の初演を演じたジェンヌたちはもうこの世におらず、
客席で見ていたファンも、もうほとんどはあの世から宝塚を見守ってくれているでしょう。
この100年で人は移り変わり、社会は変わった。戦争があり、震災があり、疫病があり。
花も嵐も踏み越えて、
燕尾服の男装の麗人とドレスの娘役、羽扇、大階段やラインダンスで彩られた魅惑の花々は、100年前と変わらず人々をファシネイトしている。
この100年で映像化、放送、配信という手段を得て、場所すら超えて時間を共有できる。
登場人物がタイムリープを繰り返す『元禄バロックロック』と『The Fascination(ザ ファシネイション)!』が、花組100周年に上演されたのって素敵な取り合わせですね。
舞台は基本、タイムリープ。
同じ物語を、時間を変えて、演者も変えて何度も何度も上演し、そのたびに全く同じ舞台は無く、新たなニュアンスが生まれ、解釈が生まれ、気づきがある。
客との出会いも一期一会。
タイムリープを繰り返すのは、花咲き乱れる国際都市、エドの人々だけではない。
『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』とは、100年の時を超えて夢を紡ぐ花組のことであり、
同じ舞台を繰り返し見に行く、私たちファンへの賛歌でもあるのですね。
「宝塚」の醍醐味は「バロックロック」だ!
しっかし、「元禄バロックロック」って凄いタイトルですね。谷先生、よく思いついたなあ。
元禄文化の特徴は、町人の生活を如実に描き,「浮世」の名称に示されるように現実的な人間性肯定の気風。
バロックとは、自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式。
《〈ポルトガル〉barroco(ゆがんだ真珠)から》16世紀末から18世紀に欧州で流行した芸術様式。
均整と調和のとれたルネサンス様式に対し、自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式が特色。
ロック(rock)
《原義は「揺り動かす、揺さぶる」の意》
「元禄バロックロック」とは、宝塚の醍醐味とは何ぞや?という問いに、
宝塚とは自由で量感溢れる、心を揺り動かす人間賛歌である、
と、タイトルと内容でもって答えた名舞台だったと思います。
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