宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

永久輝よ超おっかない姉星空と母紫門に勝て『冬霞の巴里』




このお芝居、原作では主人公オレスティアの姉エレクトラにあたる、アンブル【オクターヴの姉】 はだれがやるの?と噂になっていましたが、やはり、星空 美咲さんですか。


原作では主人公の母にあたるクリュタイメストラ(読みづらい💦)クロエ【オクターヴの母】 は、男役紫門 ゆりや。


男役のやる女役ですね。


そもそも「ヒロイン」とは 「小説・戯曲などの女主人公。また、ある事件の中心となる女性」と考えると、原作の「オレスティア3部作」の物語を動かす原動力は男たちよりも、むしろ女たち、そして”復讐の女神たち”にある。


クラシックの世界では、同じギリシャ神話を元にしたオペラがあって、タイトルロールはお姉ちゃんの「エレクトラ」がかっさらっています。



※こんな姉ちゃん&母ちゃんです。


ザルツブルク音楽祭100周年記念の舞台「エレクトラ」
さあ、弟よ、やんなさい!のシーン

Strauss: Elektra from Salzburg Festival


エレクトラには、リトアニア出身の世界的ソプラノ歌手、アウシュリネ・ストゥンディーテ。音楽祭のオープニングを飾るオペラのタイトルロールにふさわしい、存在感のある歌唱は圧巻。


そして妹のクリステミスを演じるのは、2018年の音楽祭で『サロメ』を歌い世界的に大きな話題となった同じくリトアニア出身のアスミク・グリゴリアン。本上演でも再びその才能を開花させています。


演出のクリストフ・ワリコフスキは、母親殺し、執着、復讐、衰弱、壊れた家族の深い心理状態をリアルに描いています。


そして、母を恨み、弟に近親相姦的な執着を抱く、キョーレツなエレクトラという個性は、現代に至っても心理学の世界に「エレクトラ・コンプレックス」という名を残しています。





男の子が父親に敵意を抱き母親に愛情を抱くのに対し、女の子は母親を嫉妬(しっと)し父親に愛情を抱くようになることを、とくにユングはエレクトラ・コンプレックスという。


ミケナイ(ミケーネ)の王アガメムノンはその妻クリタイムネストラに殺害されるが、


娘のエレクトラは愛する父のため、弟のオレステスと協力して母を殺して復讐(ふくしゅう)するというギリシア神話に由来する。


2,500年以上「お前のねーちゃん、スゲーな」と語り継がれるキャラを演じて、「ヒロイン認定なし」な星空 美咲さん。


まあ、「姉」だしな。




復讐の女神達(エリーニュス)は慈しみの女神たちとなるのか

エリーニュス (ティーシポネー )(殺戮の復讐者)咲乃 深音
エリーニュス (アレークトー)(止まない者) 芹尚 英
エリーニュス (メガイラ )(嫉妬する者)三空 凜花


有翼,蛇の頭髪,松明(たいまつ)を持つ姿で表され,尊属殺人者に特にきびしく報復する、復讐の女神たちエリーニュス。


原作第3部では、その罪のため復讐の女神たちに追われるオレスティアが、アテナイで神の裁きを受ける。


エリーニュス:「この男は、母親を殺しました!」


アポロン:「でも母親は、オレスティアの父親(つまり夫)を殺したぞ」


と「母殺し」と「夫殺し」の罪をめぐって論争するが,



判決を下す!


女神アテナ:「女の命は、男の命より軽い。母殺しは無罪!」


「復讐の女神たちよ、慈しみの女神たちになりなさい」


一同:「ははー」🙇



紅子:・・・黄門様もクロノスケもびっくりだよ・・・



管理人:まあ、原作は2,500年前の価値観ですからね・・・


現代で「オレスティア3部作」を演じるにあたっては、この第3部を原作のまま演じるとは思えないので、どうアレンジするか。