上田久美子は「谷 貴矢には勝てん」と思ったのか
宝塚歌劇団所属の脚本、演出家の上田久美子さんが3月末で退団したことが7日、関係者への取材で分かった。今後はフリーの演出家として活動するほか、舞台表現を学ぶため欧州留学も予定している。
実は、青天の霹靂という訳でもなく。
上田久美子先生は、常識のある偉大な秀才で、
強烈な「変人コンプレックス」を抱えていた。
京大に入ってみたら、私ぐらいの変レベルではまったく変ではなく、もっとサラブレッド的な変人がたくさんいたんです。その人たちと比べると、私はもはや馬でもない、ドン・キホーテが乗っていた貧相な駄馬ロシナンテか、ロバみたいなものだとショックをうけました」
——そこで自分も、変人のサラブレッドをめざしちゃおうと?
「最初は『いやいや私はそうならないぞ』っていうのがあったんですが。大体みんな思うんですよね、いかにも京大的な変人になったら、恋人とかもできないからなるべく普通でいようって。
でもそれだとダメだと思ったんですよ。だって普通になるということは、平均になるってこと。それって世の中にあふれる量産型のものになるってことじゃないですか。それじゃ価値なんてないじゃないですか。
価値がつくのは、数が少なくて何かしら魅力を含んでいるもの。なら、わざわざ労力をかけて平均的になる、たくさんある画一的なものになるのは無駄でしかないと思ったんです」
ほんものの変人は、「変人のサラブレッド」を「目指し」たり、「変人になったら困る」とか思わないものね。
上田久美子先生の『桜嵐記』を拝見した時、彼女は「偉大な職人」として、宝塚ファンが泣いて喜ぶ作品を書けるテクニックを十二分に身に着けて、
これから『桜嵐記』みたいな作品を量産していくのかなあ、と思っていました。
そこに谷 貴矢ですよ。『元禄バロックロック』ですよ。
こんなタイトル、思いつきます?わざわざ労力をかけて平均的になろう、と思ってもいないタイトルですよ。
谷 貴矢はナチュラルボーンに変人だ。
宇多田ヒカルの『Automatic』を聴いた時の小室哲哉は、「ヒカルちゃんが僕を終わらせた」と語っていました。
これは彼女の才能に対する最大限の賞賛だったそうです。
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最近、小室哲哉さんが「ヒカルちゃんが僕を終わらせた」と語っていました。これは彼女の才能に対する最大限の賞賛だと思います。
彼女が登場した頃の日本の音楽界は小室さんや小林武史さんなどのプロデューサーが牽引し、大ヒットを飛ばしていました。でもそんな彼らですら、宇多田ヒカルの天才性、溜めこまれたマグマが爆発するような衝撃の前には、脇役に回らざるをえなかった。
上田久美子作『FLYING SAPA -フライング サパ-』の公演解説
未来のいつか、水星(ポルンカ)。過去を消された男。記憶を探す女。謎に満ちたクレーター“SAPA(サパ)”。到達すれば望みが叶うという“SAPA”の奥地。夢を追い、あるいは罪に追われてクレーターに侵入する巡礼たち。過去を探す男と女もまた、その場所へ…。
追撃者から逃れて、2112時間続く夜を星空の孤児たちは彷徨する。禁じられた地球の歌を歌いながら──
谷 貴矢『Rain on Neptune』の公演解説
『Rain on Neptune』
作・演出/谷 貴矢
海王星ネプチューンに降る、ダイヤモンドの雨。それは海王星の月、トリトンから、青く輝く氷の惑星へと贈る、ラブレターであるという。
そんな噂を聞きつけ、伝説のトレジャーハンター、シャトーが海王星にやってきた。激しい嵐と冒険を求める彼だったが、降り立った先は数多の宝石と音楽に溢れる、美しき夢の世界であり、意外な歓迎を受けてしまう。
月の王トリトンは、戸惑うシャトーに二つだけ条件を提示する。一つは、ダイヤモンドにだけは手を出さないこと。そしてもう一つは、氷の女王、ネプチューンに恋心を抱かないこと。それさえ守れば、ここにいつまでもいてよいと言う。
遠い遠い故郷、フランスを想起させる追憶のチューンに乗せ、不思議な住人達と冒険を忘れ安らかな時を過ごすシャトー。だが、雨の彼方に浮かんでは消えるネプチューンの美しい姿に、次第に心惹かれていってしまう。恋が、雨を嵐に変えていく。
舞浜アンフィシアターの空間をドラマティックに活かし、芝居仕立てで紡ぐショースペースと、クラシカルでスペクタクルなフィナーレ。新たな試みによる二部構成で送る、コズミック・コンサート。
正直、上田久美子先生のSAPAとかfffには「わざわざ労力をかけて変人のフリをしている秀才」の気配を感じまして。
”海王星ネプチューンに降る、ダイヤモンドの雨。それは海王星の月、トリトンから、青く輝く氷の惑星へと贈る、ラブレターであるという。”
「ネコは緑色だから卑弥呼だ」並みに意味わからねえよ。私は一生ブログを書いても、こんな文章は書けそうにないよ。書き出したらたぶんどっかヤバいよ。
ナチュラルボーンの変人にはかなわねえよ。公演解説をいくら読んでも、因数分解しても、さっぱり見当がつかないんだもん。怖いよ。
宇宙では実はダイヤはありふれている
出演者一覧
光月 るうレネイド ギリシャ神話に出てくる海の妖精たちを表す言葉
白雪 さち花ラリッサ 海王星の第7衛星
千海 華蘭アレキサンドライト 光の当たり方で色が変わる
鳳月 杏トリトン 海王星第1衛星
月城 かなと シャトー・ド・カロー
春海 ゆうガーネット(ザクロ石) ラテン語のgranatus(〈種(たね)をもつ〉の意)/プランタン
夢奈 瑠音ピック
海乃 美月ネプチューン/ベルメール
佳城 葵オパールギリシャ語で「色の変化を見る」
麗 泉里アメシスト「酔わない」という意味のギリシア語
英 かおとトレフル フランス語で「四つ葉のクローバー」
彩 みちるクール
朝陽 つばさエメラルド古代エジプトでも愛された
蘭 尚樹シャトー(少年)
桃歌 雪ルビー 赤を意味するラテン語rubeusに由来
空城 ゆうルビー 赤を意味するラテン語rubeusに由来
妃純 凛ガーネット(ザクロ石) ラテン語のgranatus(〈種(たね)をもつ〉の意)
彩音 星凪スターライト 星明かり
菜々野 ありシャドー
柊木 絢斗トパーズ 和名を黄玉という。岐阜県苗木および滋賀県田上山でも産出
一星 慧サファイア 硬度9でダイヤモンドに次いで硬い
白河 りりサファイア 硬度9でダイヤモンドに次いで硬い
瑠皇 りあアメシスト 「酔わない」という意味のギリシア語
爽 悠季ダイヤモンドのかけら
真弘 蓮アクアマリン 海水を意味するラテン語に由来
咲彩 いちごエメラルド 古代エジプトでも愛された由緒ある宝石。翠玉(すいぎょく)、緑玉(りょくぎょく)
美海 そらトパーズ 和名を黄玉という。岐阜県苗木および滋賀県田上山でも産出。
月乃 だい亜ダイヤモンドのかけら
七城 雅ダイヤモンドのかけら
槙 照斗ダイヤモンドのかけら
奏羽 美緒ダイヤモンドのかけら
水城 あおいダイヤモンドのかけら
一乃 凜アクアマリン 海水を意味するラテン語に由来
涼宮 蘭奈ダイヤモンドのかけら
天つ風 朱李ダイヤモンドのかけら
華羽 りみダイヤモンドのかけら