宝塚 ライビュ専科の地方民のブログ

宝塚を「好き」という気持ちを因数分解してみたい、という思いで綴っています

いるよね!「カルト・ワイン」実話だと思っていた人




ミュージカル・プレイ

『カルト・ワイン』

作・演出/栗田 優香

21世紀初頭のニューヨーク。狂乱のヴィンテージワイン・オークション会場に華やかに登場するのは、高級スーツに身を包んだヒスパニック系の男、カミロ・ブランコ。誰もがその名を知る、若きワイン・コレクターだ。羽振りの良さ、膨大な知識、確かな舌、上品な物腰と人懐っこい性格で信用を得たカミロのコレクションに、人々はこぞって高値をつけていく。

だが、そのほとんどは安ワインをブレンドして作られた偽造品で、カミロという名も偽名だった。

彼の正体は10年前に貧しい中米の国・ホンジュラスから入国した不法滞在者、シエロ・アスール。マラスだった彼は、殺るか殺られるかの暮らしから抜け出すため、幼馴染のフリオと共に命懸けの旅に出たのだった。

シエロは何故ワイン偽造に手を染め、如何にして業界を揺るがすワイン詐欺師となり得たのか?

貧しい一人の青年が、被害総額1億ドルの偽造ワイン事件犯として投獄されるまでを描いた、ちょっぴりビターなスウィンドル・ミュージカル!  



すみません。先日この記事を書いたとき、私は


「21世紀に実際に起こった事件の、最近まで服役していた犯人の役をジェンヌが演じるって、大丈夫かいな」


と思いながら書いておりました。



実際に、21世紀初頭に全米を揺るがせた偽造ワイン事件があったんですよ。その犯人はインドネシア系のルディ・クルニアワンこと本名はゼン・ワン・ホアン。


なーんだ。「カルト・ワイン」はフィクションか。


紅子:アンタ以外にも、勘違いしているファンがいそうよねえ・・・



実際にあったルディ事件とは


2012年、アメリカのワイン愛好家ルディ・クルニアワンが、ロマネ・コンティなどの偽造ワインを売りさばいて逮捕されました。


2002年、彼は25歳の若さで、突如ロサンゼルスのワイン社交界に登場。当時白人男性顧客ばかりの高級ワイン市場では、珍しいアジア系。


とにかく舌がよく、ワインの味を表現するポエムが上手くて、ハリウッドの映画監督や大富豪といった華々しい人たちを「こいつ、すげえな」と思わせ、人脈を築いたルディ。


ああ、ありますよね。ソムリエのワインポエム

2匹の絡み合う蝶はどこか謎めいていて・・・・ 捕まえられる 今なら― ああ 行ってしまった・・・・・


でも俺は自分から近寄っていけた ただ遠巻きに眺めるだけでなく 想像の翼を広げてこの光景の中に舞い降りることができた―


「神の雫」 第6巻より


ヅカファンが贔屓のデュエットダンスを見ている時の高揚感をポエムにしたみたいですが、「ワインの味の表現」ですって。



ルディは世界にほとんど現存していないはずの戦前のロマネ・コンティなど、マニア垂涎のレアワインを年間1万5,000本も売り捌き、莫大な富を築いたのだとか。


しかしそれらのレアワインの実態は、安物のチリワインに古いポートワイン、ハーブ、隠し味に醤油をたらして、はい一丁上がり。


本物のロマネ・コンティの空き瓶に詰めたり、ラベルを偽造したりで、数百円のワインが数百万円のロマネ・コンティに早変わり、である。



彼の正体はルディ・クルニアワンこと本名はゼン・ワン・ホアン。インドネシア系の難民で、アメリカに渡航した後に永住権を獲得しようとしたものの失敗し、名前と身分を偽って違法に滞在していたところ、その天性の舌とポエム創作力をあらぬ方向に発揮してしまったのですね。



現在も、ルディが手掛けた600億円相当の偽造ワインが世界中に散らばっており、見つかっていないと言われています。


困ったなー。こんどロマネ・コンティを買う時、本物かどうかドキドキするじゃない


紅子:すごい棒読み。